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生成AIコラム

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うさぎでもわかるDify完全ガイド – AIワークフロー構築で業務を革新

はじめに

AI活用が企業の競争力を左右する時代になりました。しかし、AIを活用したいと思っても「専門知識がない」「開発費用が高い」「時間がかかる」といった課題に直面している方も多いのではないでしょうか。

そんな課題を解決してくれるのがDify(ディファイ)です。

この記事では、AIワークフローの基礎から、Difyを使った実践的な導入方法まで、初心者でもわかりやすく解説していきます。プログラミング経験がなくても、この記事を読めば今日からDifyでAIアプリケーションを作り始められるようになりますよ🐰

この記事で学べること

  • AIワークフローとは何か、何ができるのか
  • Difyの基本機能と独自の強み
  • Difyの具体的な始め方と使い方
  • 実践的なチャットボットとディープリサーチワークフローの構築方法

それでは、まずはAIワークフローとは何かから見ていきましょう!

AIワークフローとは何か

AIを使った業務の流れを自動化・最適化する仕組みを理解するうさよ〜🐰

AIワークフローの基本概念

AIワークフローとは、AI(特に大規模言語モデル)を活用して、業務プロセスを自動化・最適化する仕組みのことです。

従来のワークフローとの大きな違いは以下の3つです。

1. 自然言語での指示が可能
従来のワークフローでは、細かいルールをプログラムで記述する必要がありました。しかしAIワークフローでは、「このような内容のメールが来たら要約して返信してください」といった自然な言葉で指示できます。

2. データ収集→分析→判断→実行までを自動化
AIが文脈を理解し、複雑な判断を行いながら、一連の業務を自動的に処理します。例えば、顧客からの問い合わせ内容を理解し、過去のデータを参照して、最適な回答を生成するといった流れを自動化できます。

3. 柔軟な対応が可能
従来のワークフローは決められたルールに従うだけでしたが、AIワークフローは状況に応じて柔軟に対応できます。想定外の質問にも、学習したデータを基に適切な回答を生成します。

AIワークフローで実現できること

AIワークフローを導入することで、以下のような業務を自動化・効率化できます。

カスタマーサポートの自動化
顧客からの問い合わせに24時間365日自動で対応できるチャットボットを構築できます。FAQ、マニュアル、過去の対応履歴などを学習させることで、人間のオペレーターと同等の品質で対応可能になります。

社内ナレッジの活用
社内に散らばっている文書、マニュアル、議事録などを一元化し、誰でも必要な情報を素早く検索・活用できるシステムを作れます。「先月の営業会議で決まったことは?」といった質問に、関連する情報を即座に提示できます。

文書作成・要約の自動化
長文の記事やレポートを自動で要約したり、議事録を自動作成したりできます。また、複数の文書を比較分析して、共通点や相違点を抽出することも可能です。

これらはほんの一例です。AIワークフローは、アイデア次第で様々な業務に応用できる可能性を秘めています。

それでは、このAIワークフローを誰でも簡単に構築できるツール「Dify」について詳しく見ていきましょう!

Difyとは – AIワークフロー構築の革新的プラットフォーム

Difyの基本情報

Difyは、プログラミング知識がなくても、直感的な操作でAIアプリケーションを構築できるオープンソースプラットフォームです。

2024年のリリース以降、世界中の開発者に利用され、急速に成長しています。GitHubでは11万以上のスターを獲得しており、活発なコミュニティによって日々機能が拡充されています。

Difyの最大の特徴は、プログラミング不要でAIアプリを構築できるという点です。ドラッグ&ドロップの操作だけで、高度なAIチャットボットやワークフローを作成できます。

また、セルフホスティング版なら完全無料で利用できるため、中小企業や個人でも気軽に始められるのも大きな魅力です。

Difyの5つの主要機能

Difyには、AIアプリケーション開発に必要な機能が揃っています。ここでは、特に重要な5つの機能を紹介します。

1. ノーコード/ローコード開発

ドラッグ&ドロップで直感的に操作できるビジュアルエディタを搭載しています。プログラミング知識がなくても、ブロックを繋ぐだけでAIアプリケーションを作成できます。

一方で、より高度なカスタマイズが必要な場合は、PythonやJavaScriptのスクリプトを組み込むこともできます。初心者から上級者まで、それぞれのレベルに応じた開発が可能です。

2. マルチLLM対応

Difyは、以下のような主要なLLM(大規模言語モデル)に対応しています。

  • OpenAI(GPT-5、GPT-4oなど)
  • Anthropic(Claude 4.5、Claude 4 Opusなど)
  • Google(Geminiなど)
  • Meta(Llama2、Llama3など)
  • その他、数百種類のモデル

用途や予算に応じて最適なモデルを選択でき、複数のモデルを切り替えながら使うことも簡単です。例えば、コスト重視の場面ではGPT-4o mini、高品質が必要な場面ではGPT-5といった使い分けができます。

3. RAG(Retrieval-Augmented Generation)機能

RAGは、AIに独自のデータを学習させて活用する技術です。

社内文書、マニュアル、FAQ、過去の対応履歴などをアップロードすることで、それらの情報を基にした回答を生成できます。これにより、汎用的なAIではなく、あなたの企業や業務に特化したAIを構築できます。

Difyでは、テキストファイル、PDF、Wordファイル、Webページなど、様々な形式のデータを簡単に取り込めます。また、ベクトルデータベースとの連携により、膨大なデータの中から関連性の高い情報を高速に検索できます。

4. ワークフロー設計機能

ノードを繋いで処理フローを視覚的に設計できる機能です。

例えば、以下のようなワークフローを作成できます。

  1. ユーザーからの質問を受け取る
  2. 質問の意図を分析する
  3. 関連する社内文書を検索する
  4. 検索結果を基に回答を生成する
  5. 回答の品質をチェックする
  6. ユーザーに回答を返す

条件分岐や繰り返し処理、外部APIとの連携も可能です。複雑な業務プロセスも、視覚的にわかりやすく設計できます。

5. API自動生成とWebhook連携

作成したAIアプリケーションは、APIとして自動的に公開されます。

これにより、Webサイト、モバイルアプリ、SlackやNotionなどの既存ツールに簡単に組み込めます。Webhook機能を使えば、特定のイベントが発生したときに自動的にAIを起動することも可能です。

Difyだけの強み

他のツールと何が違うのか、Difyならではの特徴うさよ〜🐰

数あるAIプラットフォームの中で、なぜDifyが注目されているのでしょうか。ここでは、Difyならではの4つの強みを紹介します。

1. オープンソース

Difyの基本機能は完全無料で利用できます。オープンソース(Apache 2.0ライセンス)であるため、ソースコードも公開されており、誰でも自由にカスタマイズできます。

セルフホスティング版を選べば、自社のサーバーで運用できるため、データを外部に送信せずに済みます。機密性の高い情報を扱う企業にとって、これは大きなメリットです。

また、世界中の開発者がコミュニティで協力して機能を追加・改善しているため、頻繁にアップデートされ、常に最新の技術が取り入れられています。

2. 圧倒的な開発スピード

従来のAI開発では、企画から設計、実装、テストまで数ヶ月かかることも珍しくありませんでした。

しかしDifyを使えば、数時間〜数日でプロトタイプを完成させることができます。アイデアを素早く形にして試せるため、失敗を恐れずに様々なアプローチを試すことができます。

プロトタイプから本番環境への移行も迅速で、ユーザーからのフィードバックを受けて改善するサイクルを高速で回せます。これは、市場の変化が激しい現代のビジネスにおいて、大きな競争優位性となります。

3. 充実したLLMOps機能

LLMOpsとは、LLM(大規模言語モデル)を本番環境で運用・管理するための手法のことです。

Difyには、以下のようなLLMOps機能が充実しています。

  • プロンプトエンジニアリングのサポート – 効果的なプロンプトを作成するためのプロンプト生成器
  • パフォーマンス評価ツール – AIの回答品質、応答速度、コストなどを可視化
  • ログ分析 – ユーザーとの対話履歴を分析し、改善点を発見

これらの機能により、AIアプリケーションを作って終わりではなく、継続的に品質を向上させていくことができます。

4. 豊富なテンプレート

Difyには、すぐに使えるテンプレートが多数用意されています。

  • カスタマーサポートチャットボット
  • 文書要約システム
  • 翻訳ボット
  • コード生成アシスタント
  • データ分析レポート作成

など、様々な用途に対応したテンプレートがあります。

初心者の方は、これらのテンプレートを使ってDifyの使い方を学び、徐々にカスタマイズしていくことで、効率的にスキルアップできます。

それでは、実際にDifyを使い始める方法を見ていきましょう!

Difyの始め方 – 3ステップで導入完了

Difyの導入は非常に簡単です。ここでは、クラウド版(Dify Cloud)を使った始め方を3ステップで解説します。

ステップ1 – アカウント作成

まずは、Difyのアカウントを作成しましょう。

クラウド版とセルフホスト版の選択

Difyには2つの利用方法があります。

  1. クラウド版(Dify Cloud) – Difyが提供するクラウドサービスを利用。サーバー管理不要で、すぐに使い始められる
  2. セルフホスト版 – 自社のサーバーにDifyをインストールして運用。完全無料だが、サーバー管理の知識が必要

初心者の方や、まずは試してみたい方は、クラウド版から始めることをおすすめします。

アカウント登録方法

  1. Difyの公式サイト(https://dify.ai)にアクセス
  2. 「Get Started」ボタンをクリック
  3. メールアドレスとパスワードを入力、またはGitHub/Googleアカウントでサインアップ
  4. 確認メールのリンクをクリックして認証完了

これで、Difyのアカウントが作成できました!

ステップ2 – LLMモデルの設定

Difyでは、様々なLLMプロバイダーのモデルを利用できます。ここでは、最も一般的なOpenAI(GPT)の設定方法を解説します。

OpenAIのAPIキー取得

  1. OpenAIの公式サイト(https://platform.openai.com)にアクセス
  2. アカウントを作成またはログイン
  3. ダッシュボードから「API Keys」セクションへ移動
  4. 「Create new secret key」で新しいAPIキーを生成
  5. 表示されたキーをコピー(このキーは一度しか表示されないので注意)

DifyでのAPIキー設定

  1. Difyのダッシュボードに戻る
  2. 「設定(Settings)」→「モデルプロバイダー(Model Provider)」を選択
  3. 「OpenAI」を選択
  4. コピーしたAPIキーを貼り付け
  5. 「保存(Save)」をクリック

これで、GPT-4oなどのOpenAIのモデルが使えるようになりました!

その他のプロバイダー

同様の手順で、Anthropic(Claude)、Google(Gemini)、その他のプロバイダーも設定できます。用途や予算に応じて、複数のプロバイダーを設定しておくと便利です。

ステップ3 – 最初のアプリ作成

それでは、実際にDifyで最初のアプリを作ってみましょう!

アプリタイプの選択

Difyでは、大きく3つのアプリタイプから選べます。

  1. チャットボット(Chatbot) – ユーザーと対話形式でコミュニケーション
  2. ワークフロー(Workflow) – 複数のステップを組み合わせた処理フロー
  3. エージェント(Agent) – 自律的に判断・行動するAI

初めての方は、チャットボットから始めるのがおすすめです。

テンプレートからの作成

  1. Difyのダッシュボードから「アプリを作成する」をクリック
  2. 「テンプレートから作成」を選択
  3. 好きなテンプレートを選ぶ(例:「DeepResearch」)

カスタマイズの基本

テンプレートを選んだら、以下の項目をカスタマイズできます。

  • プロンプト – AIの性格や回答スタイルを設定
  • ナレッジベース – 独自のデータを追加
  • モデル – 使用するLLMを選択

簡単なカスタマイズをしたら、「テスト」ボタンで動作を確認してみましょう。実際にチャットで質問を投げかけて、AIの回答を確認できます。

満足いく結果が得られたら、「公開(Publish)」ボタンで本番環境にデプロイできます。

お疲れ様でした!これで、Difyの基本的な使い方がわかりましたね。次は、より実践的な使い方を見ていきましょう🐰

Difyの実践的な使い方

ここからは、実際に手を動かしながらDifyの使い方を学んでいきましょう。今回は2つの実践例を紹介します。

【1】シンプルなチャットボットを作ってみよう

まずは、社内文書やナレッジベースから質問に答えるシンプルなチャットボットを作ってみましょう。

RAG(Retrieval-Augmented Generation)機能を使うことで、独自のドキュメントに基づいた正確な回答ができるチャットボットを簡単に構築できます。

このチャットボットでできること

  • 社内文書や製品マニュアルの内容を基に回答
  • 最新情報を常に反映(ドキュメントを更新すればAIの回答も更新される)
  • 出典を明示できるため、信頼性の高い回答が可能

今回は、架空のクラウドサービス「CloudVault」のドキュメントを使って、製品に関する質問に答えるチャットボットを作成します。

法人向け生成AIサービス「ナレフルチャット」でも、社内ドキュメントを参照して応答を行うAIチャットボットを、ノーコードで作成可能!
また、料金プランは企業単位の定額制を採用しており、何人で利用しても追加のコストは発生しないため、コスト管理の手間がかからないスムーズな全社導入を実現できます。
初月無料で生成AIが利用できるトライアル期間も用意しておりますので、生成AIの利活用を検討している企業様は、是非一度導入をご検討ください。

事前準備 – ナレッジ(RAG)を設定

まずは、AIが参照するナレッジベースを作成します。ここに登録したドキュメントを基に、AIが回答を生成します。

ステップ1:ナレッジベースの作成

  1. Difyの管理画面で「ナレッジ」タブを開く
  2. 「ナレッジベースを作成」ボタンをクリック
  1. 「テキストファイルからインポート」をクリック
  1. 事前に準備したドキュメント(今回はCloudVaultのサービスドキュメント)を選択してアップロード

ステップ2:ナレッジドキュメントの登録設定

ドキュメントをアップロードしたら、以下の設定を行います。今回は基本的にデフォルト設定を使用します。

各設定項目の意味を理解しておきましょう。

1. チャンク設定 – 汎用

チャンク分割とは、長い文書を適切な長さに分割する処理のことです。AIが効率的に情報を検索できるように、適度な大きさに分けます。「汎用」は一般的なドキュメントに適した設定です。

2. インデックス方式 – 高品質

インデックスとは、検索を高速化するためのデータ構造です。「高品質」モードでは、より精度の高い検索が可能になります。

3. Embeddingモデル – text-embedding-3-large

Embeddingモデルは、テキストを数値ベクトルに変換するモデルです。text-embedding-3-largeは、OpenAIの高性能なモデルで、意味的に類似した文章を正確に見つけられます。

4. 検索設定 – ハイブリッド検索

ハイブリッド検索は、キーワード検索とセマンティック検索(意味検索)を組み合わせた方法です。これにより、より正確な情報を見つけられます。

5. 設定完了と処理開始

設定が完了したら、「保存して処理」ボタンをクリックします。

ドキュメントの処理が始まり、ベクトル化(数値データへの変換)が行われます。処理が完了すると、ドキュメント名の横にチェックマークが表示されます。

これでナレッジベースの準備が完了しました。

チャットボットを作成

ナレッジベースができたら、実際にチャットボットを作成していきます。

ステップ1:チャットフローの作成

チャットフローは、会話の流れを視覚的に設計できる機能です。

  1. Difyのスタジオ画面を開く
  2. 「アプリを作成する」をクリック
  3. 「最初から作成」→「チャットフロー」を選択

チャットフローとは

チャットフローは、ユーザーの入力から回答生成までの処理を、ノードを繋いで設計する機能です。今回は以下の流れを作ります。

ユーザー入力 → 知識検索 → LLMで回答生成 → 回答を返す

ステップ2:プロンプトの設定

プロンプトは、AIの役割と回答方法を定義する重要な部分です。

LLMノードのシステムプロンプト欄に、以下のプロンプトを入力します。

あなたはAIアシスタントです。
以下の<context></context>というXMLタグ内のコンテキストを、学習した知識として使用してください。
<context>
{{#context#}}
</context>
ユーザーに回答する際は:
- 分からない場合は、分からないとはっきり伝えてください。
- 不確かで分からない場合は、clarification(明確化)を求めてください。
コンテキストから情報を得たことには言及しないでください。
そして、ユーザーの質問の言語に合わせて回答してください。

プロンプトの意味

  • {{#context#}} は、次のステップで設定する「知識検索」の結果が挿入される変数です
  • XMLタグで囲むことで、AIがコンテキストを明確に認識できます
  • 「分からない」と正直に答えるルールを設定することで、ハルシネーション(誤った情報の生成)を防ぎます

コンテキスト変数の設定

コンテキストのエリアには、次のステップで追加する「知識検索」ノードの結果を設定します。

ステップ3:知識検索ノードの追加

ナレッジベースから関連情報を検索するノードを追加します。

  1. 「開始」ノードと「LLM」ノードを繋ぐ線にマウスをホバー(重ねる)
  2. 表示される「+」ボタンをクリック
  3. 「知識検索」ノードを選択
  4. 事前準備で作成したナレッジベース(CloudVault)を選択

知識検索ノードの役割

このノードは、ユーザーの質問に関連する情報をナレッジベースから自動的に検索します。検索された情報が {{#context#}} 変数に渡され、LLMが回答を生成する際の参考情報となります。

これで、チャットボットの基本的な構成が完成しました。

実際に使ってみよう

設定が完了したら、テストモードで実際に質問してみましょう。

質問例

CloudVaultの対応拡張子は?

チャットボットの動作フロー

  1. 質問の受付 – ユーザーの質問を受け取る
  2. ナレッジ検索 – CloudVaultのドキュメントから関連情報を検索
  3. 回答生成 – 検索結果を基に、LLMが自然な文章で回答を作成
  4. 回答返却 – ユーザーに回答を表示

この基本パターンをマスターすれば、様々な用途に応用できます🐰

【2】MCPを活用した補助金検索AIエージェントを作ろう

MCP(Model Context Protocol)はAnthropicが開発した、AIと外部ツールを接続するためのプロトコルです。これを使うことで、AIが外部のデータベースやAPIにアクセスして、リアルタイムな情報を取得できるようになります。

今回は、デジタル庁が公開している「Jグランツ」のMCPサーバーを使って、補助金を検索できるAIエージェントを作ってみましょう。

また、AIエージェントついては、以下の記事でも詳しくまとめていますのでよければご参照ください。

参考記事:AIエージェントとは?特徴・メリット・国内企業の活用事例まで徹底解説

なぜMCPを使うのか

通常のAIは、学習データに含まれる情報しか答えられません。しかしMCPを使うと、最新の補助金情報をリアルタイムで検索できるようになります。

これにより、「2025年以降のAIに関連する補助金」のような、最新かつ具体的な質問にも正確に答えられるようになります。

事前準備 – MCPサーバーのセットアップ

まずは、Jグランツ補助金検索用のMCPサーバーを起動します。このサーバーがあることで、Difyから補助金データベースにアクセスできるようになります。

ステップ1:プロジェクトの取得

git clone https://github.com/digital-go-jp/jgrants-mcp-server
cd jgrants-mcp-server

デジタル庁が公開しているJグランツMCPサーバーのリポジトリをダウンロードします。

ステップ2:プロジェクトの初期化

uv init

プロジェクトの基本構成を初期化します。

ステップ3:仮想環境の作成

uv venv

Python仮想環境を作成します。これにより、他のプロジェクトに影響を与えずに必要なパッケージをインストールできます。

ステップ4:仮想環境の有効化

source .venv/bin/activate

作成した仮想環境を有効化します。

ステップ5:依存パッケージのインストール

uv pip install -r requirements.txt

サーバーの動作に必要なパッケージをすべてインストールします。

ステップ6:サーバーの起動

uv run ./jgrants_mcp_server/core.py --host 0.0.0.0 --port 9999

MCPサーバーを起動します。0.0.0.0で起動することで、外部からアクセス可能になります。

サーバーが正常に起動すると、ポート9999で待ち受け状態になります。

DifyでMCPサーバーを登録

次に、起動したMCPサーバーをDifyに登録します。

ステップ1:MCPサーバーURLの設定

  1. Difyの管理画面で「ツール」→「MCP」を開く
  2. 「MCPサーバー(HTTP)を追加」をクリック
  3. サーバーURLを入力します
http://[サーバーのグローバルIP]:[指定したポート]/mcp

ポイント

  • [サーバーのグローバルIP]には、MCPサーバーを起動したマシンのIPアドレスを入れます
  • 本番環境では、セキュリティのためVPNやファイアウォールでアクセスを制限することをおすすめします

補助金検索エージェントの作成

MCPサーバーの準備ができたら、いよいよエージェントを作成します。

ステップ1:エージェントアプリの作成

  1. Difyのスタジオ画面を開く
  2. 「アプリを作成する」をクリック
  3. 「最初から作成」→「エージェント」を選択

エージェントとチャットボットの違い

エージェントは、自律的にツール(今回はMCP)を呼び出して情報を取得できます。チャットボットは会話するだけですが、エージェントは「検索する」「データを取得する」などの行動を取れます。

ステップ2:プロンプトの設定

プロンプト欄に以下のように入力します。

あなたはMCPツールを活用して補助金を調べるエージェントです。

このプロンプトにより、エージェントの役割と振る舞いが定義されます。

ステップ3:MCPツールの設定

  1. 「ツール」セクションを開く
  2. 先ほど登録したMCPサーバーを選択
  3. 利用可能なツール(補助金検索関数など)が表示されることを確認

実際に使ってみよう

設定が完了したら、テストモードで実際に質問してみましょう。

質問例

2025年以降のAIに関連する補助金は何件ある?詳細も教えて

エージェントの動作

  1. 質問を理解する
  2. MCPツールを使って補助金データベースを検索
  3. 検索結果を整理して回答

補助金検索エージェントは最もシンプルで効果的な活用例うさ!
他のMCPやRAGを設定することで社内の問い合わせ対応で実際に導入している企業も多いうさよ。
最初のエージェント構築にもおすすめうさ〜🐰

【3】ディープリサーチワークフローで市場調査を自動化しよう

ディープリサーチワークフローは、複数のWeb検索を組み合わせて、包括的な調査レポートを自動生成する機能です。

ディープリサーチとは

通常のWeb検索では、1つの質問に対して1つの答えしか得られません。しかしディープリサーチでは、以下のような高度な調査を自動化できます。

テンプレートからディープリサーチを作成

Difyには、すぐに使えるディープリサーチのテンプレートが用意されています。ゼロから作る必要はありません。

ステップ1:テンプレートの選択

  1. Difyのスタジオ画面を開く
  2. 「アプリを作成する」をクリック
  3. 「テンプレートから作成」を選択
  4. 「DeepResearch」を選択

このテンプレートには、ユーザの意図理解→検索→要約生成の流れが、すでにワークフローとして組み込まれています。

3つの設定で使い始められる

テンプレートを使えば、たった3つの設定をするだけですぐに使い始められます。

設定1:LLMモデルの選択

情報を分析してレポートを生成するモデルを選びます。

推奨設定

  • 高品質重視:GPT-4o、Claude 4.5 Sonnet
  • コスト重視:GPT-4o-mini
  • バランス重視:GPT-4o-mini

設定2:Reasoningモデルの選択

調査の戦略を考えるモデルを選びます。「どのような情報を集めるべきか」を判断する重要な役割です。

推奨設定

  • OpenAI gpt-5(思考力が高い)
  • Claude 4.5 Sonnet(バランスが良い)

設定3:Tavily APIキーの設定

Tavily SearchはAI向けに最適化された検索APIです。通常のGoogle検索より、AIが理解しやすい形式で結果を返してくれます。

Tavily APIキーの取得方法

  1. Tavily公式サイト(https://tavily.com)にアクセス
  2. 無料アカウントを作成
  3. ダッシュボードからAPIキーを取得
  4. DifyのTavily設定欄に貼り付け

実際に使ってみよう

設定が完了したら、さっそく調査を実行してみましょう。

調査テーマの例

AIエージェントについて調査して

ワークフローの動作

ディープリサーチワークフローは競合分析や市場調査に非常に役立ちました。人間が手作業で行うと数時間かかる調査を、AIが数分で完了してくれるのは本当に便利です🐰

ただし、AIが生成した情報は必ずファクトチェックを行うようにしましょう。特に重要な意思決定に使う場合は、人間の目で最終確認することをおすすめします。

まとめ

ここまで、AIワークフローの基礎からDifyを使った実践的な構築方法まで解説してきました。

AIワークフローの重要性

AI活用が競争力を左右する時代において、AIワークフローは業務効率化の強力な武器となります。従来は専門知識がないと構築できなかったAIシステムが、今では誰でも作れるようになりました。

Difyならではの強み

  • オープンソースで無料から始められる
  • プログラミング不要で直感的に開発できる
  • 圧倒的な開発スピードでアイデアを素早く形にできる
  • 充実したLLMOps機能で継続的な改善が可能

2025年は、AIワークフローが当たり前になる転換点です。Difyを使って、あなたの業務を革新し、競争優位性を築いていきましょう🐰

参考リンク

最後まで読んでいただき、ありがとうございました!

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AIエージェントマネジメント事務所「r488it」を創立し、うさぎエージェントをはじめとする新世代のタレントマネジメント事業を展開。AI技術とクリエイティブ表現の新たな可能性を探求しながら、次世代のエンターテインメント産業の構築に取り組んでいます。
ブログでは一つのテーマから多角的な視点を展開し、読者に新しい発見と気づきを提供するアプローチで、テックブログやコンテンツ制作に取り組んでいます。「知りたい」という人間の本能的な衝動を大切にし、技術の進歩を身近で親しみやすいものとして伝えることをミッションとしています。

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