Use Case
導入事例
生成AI導入のハードルを下げる|IT商社に学ぶ全社的AI活用のポイント

【導入事例】株式会社ハイパー
株式会社ハイパーは、IT関連の商品やサービスを取り扱う商社として、幅広い分野で事業を展開しています。2024年10月よりナレフルチャットを導入し、わずか5ヶ月で社員の約8割が活用するまでに普及。2週間かかっていた作業が2時間で完了するなど、劇的な業務効率化を実現しています。
今回は、営業統括部で部長を務める河野さまに、ナレフルチャット導入の背景や活用による効果についてお話を伺いました。
■導入企業と生成AIの利用状況
── はじめに株式会社ハイパーについて教えてください
弊社は主にIT関連の商品やサービスを取り扱う商社として事業を展開しています。
また、「アスクル」の代理店業務も行っており、幅広い分野に対応しています。
具体的な業務内容としては、パソコンや周辺機器、ソフトウェアの販売をはじめ、それらに付随したシステム構築、運用サポートなどを提供しています。
その他、IT管理に関するトータルサポートだけでなく、オフィスデザインにも取り組んでいます。例えば、デスクや椅子の提案、LAN工事、モニター設置など、オフィス環境づくりもサポートしています。
── 河野さまの主な担当業務について教えてください
私自身は営業統括部の統括部長を務めており、営業部全般の業務を管理・推進しています。
営業部は会社の中で最も人数が多い部署で、現在100名以上の社員が所属しています。
そのため、目標達成に向けた戦略の立案や部門間の連携調整、社員一人ひとりのパフォーマンス管理まで、幅広い業務に注力しています。
また、営業活動の効率化のために最新のツールやシステムを導入し、業務フローの見直しや社員教育にも力を入れています。
── ナレフルチャット導入前も生成AIの業務活用は行っていましたか?
一部で試験的に活用していました。2023年10~12月頃、OpenAIの技術を使用し、営業部の業務効率化に取り組みましたが、データ準備の手間と労力が大きく、実用化には課題があると判断し、プロジェクトは一旦終了しました。
その後、2024年2月にMicrosoftの「Copilot」のリリースを受けて、同年夏頃から「Copilotプロジェクト」をスタートし、AI活用の検証を実施しました。
──生成AIの業務活用での課題やお悩みなどは、ありましたか?
全社員への生成AI活用の普及を検討していたのですが、ライセンスコストが高く、全社員に利用を広げることが難しい点が課題でした。
また、内勤業務には効果が見られた一方で、営業部の現場では日々の業務の中でAI活用シーンが限られることも課題でした。
営業業務は主に見積書のやり取りが中心であり、Copilotが得意とする資料作成などの機能が直接的に役立つ場面は少なかったのです。
こうした要因から、全社的な浸透には至らなかったものの、Copilotプロジェクトを通じてAI活用への理解は深まりました。
── 生成AIの導入や業務活用を検討することになった背景を教えてください
当社はIT関連商品やサービスを提案する商社であり、Microsoftの代理店としても大きな売り上げを上げています。そのため、生成AIを導入しないという選択肢はそもそも考えられませんでした。
一昨年頃からニュースでも取り上げられるようになり、お客様からも生成AI活用のお話は出てきているので、これに対して我々が「よく分かりません」と回答するわけにはいきません。IT商社として信頼を損ねることなく価値を提供するためには、生成AIをはじめとする最新技術を積極的に取り入れ、その可能性を提案していく姿勢が不可欠です。
生成AIの導入や活用は、こうした考えの延長線上にあり、当社にとって必要不可欠な取り組みでした。
■ナレフルチャット導入の背景
── 「ナレフルチャット」導入以前から他ツールで生成AIを導入していたとのことですが、ナレフルチャットを知ったきっかけは何だったのでしょうか?
以前からCLINKSとは、保守業務の外注やeラーニング商品の提供などでお付き合いがありました。その中で、弊社の生成AI活用について担当者と話す機会があり、その際に「ナレフルチャット」を新たにリリースしたとご紹介いただいたことが、きっかけです。
全社員に普及しやすいツールを模索していたタイミングだったため、前向きに検討することとなりました。
──数ある生成AIツールの中からナレフルチャットを選んだ理由や決め手を教えてください

大きな決め手は「プロンプト作成サポート機能」です。
もちろん、以前からお付き合いがあったからといってすぐにナレフルチャットの導入を決めたわけではなく、無償ツールを含む他社の生成AIとの比較をさせていただきました。
他社やフリーのツールでは期待通りの回答が得られず、業務には不向きだと感じましたが、ナレフルチャットは期待する回答が返ってくるようにプロンプト作成をサポートしてくれるためAI初心者でも使いやすく、業務効率化に直結する機能が充実している点が非常に魅力的でした。
さらに、「ユーザー無制限」の料金設定も大きなポイントで、低コストで全社員が活用できる環境を整えられるのは非常に助かりました。
生成AI導入が手探りの企業にとって、このようなハードルの低さは非常に価値があると感じています。
■ナレフルチャット導入後の効果

──ナレフルチャットの導入効果を教えてください
現在最も効果を感じているのは、これまで会社内であまり目立つ存在ではなかった社員が、AI活用において優れた力を発揮している点です。ナレフルチャットを導入したことで、想定していなかったメンバーが予想以上の活用力を示し、新たな人材の発掘につながっています。
例えば、AIの活用方法を尋ねると、社内でも認識されていなかった方法で効率的にAIを活用しており、彼らがDX推進において大きな可能性を秘めていることに気づきました。
こうした潜在的な能力を持つ社員がわかりやすく可視化されたことは、非常に大きな成果だと感じています。
また、契約書管理やデータ分析といった具体的な業務においてもナレフルチャットが活用されており、導入から約5ヶ月半の間に着実な成果が表れています。
ナレフルチャットの活用によって、社内全体のスキル向上だけでなく、これまで気づかれていなかった社員の才能や適性を発見できたことが、私たちにとって想定以上の効果だと感じています。
──現在導入いただいているナレフルチャットは、社員全員に提供していますか?
基本的には、営業部員全員に提供しています。
ただ、営業部で導入しているツールではあるものの、他部署のメンバーにも「使いたい場合は気軽に声をかけてほしい」と伝えており、必要があればすぐに利用可能な体制を整えています。ナレフルチャットはユーザー数に関係なく利用できる料金体系で、アカウント発行にはコストがかからないため、希望があれば柔軟に対応しています。
現在、全社で158名が利用しており、社員全体の約8割が活用中です。
営業部ではほぼ全員が利用しています。業務効率化に直結するツールなので、今後さらに多くの社員が活用できる環境を広げていきたいと考えています。
──従業員へのAIツール浸透に関して苦労はありましたか?
ナレフルチャット導入当初は数人しか使っていませんでしたが、社内での口コミにより利用者が増え、現在では利用量が当初の想定を大きく上回るほど活用が進んでいます。
社員同士で「なぜナレフルチャットを使わないの?」と勧め合う場面も見られるなど、便利さが自然と共有されつつあります。
ただし、まだ実際に使ったことがない社員もおり、具体的な活用方法を理解していない人もいます。
AIの便利さや効率化の可能性を認識できておらず、「自分の業務にAIが役立つかもしれない」という気づきがないこと自体が課題となっています。一度便利さを体感した人はその効果を実感しますが、体験していない人にはその価値が伝わりにくいのが現状です。
この「知らないがゆえに課題視できない」という点は、個人レベルにとどまらず、会社全体として改善に取り組む必要があると現状感じています。
──導入前と比較して、従業員の生成AIリテラシーに変化を感じていますか?
まだ、すべての社員が十分に使いこなしているわけではありませんが、全体的に利用方法は改善され、徐々にリテラシーが向上していると感じます。
私たち自身もナレフルチャットを完全に使いこなせているわけではありませんが、最近ではタイムライン機能の活用が増え、社員間で情報交換を行う良い傾向が見られています。
また、以前はあまりAIを活用していなかったメンバーも積極的に利用するようになり、社内全体の意識も変化しています。
DXを進めるには課題を正しく認識することが必要だと考えているので、その意味でナレフルチャットは課題解決を加速させるツールとしてとても効果的です。
まだまだ活用の余地があるため、引き続き取り組んでいきたいと考えています。
■今後の展望

──今後の事業展開、展望があれば教えてください
当社の主なお客様は情報システム部門の方々で、その業務を支援することが当社の重要な使命です。
情報システム部門には通常、ITリテラシーが高い方が多く所属されていますが、業務の多くがインフラ運用やセキュリティ対策といった専門分野に割かれており、DX推進が後回しになりがちな状況があります。
私たちは、DXを「デジタルツールで本業が儲かること」と定義しています。
例えば、生産工程をデータ化し効率化することで、業績向上につなげることが本来求められるもので、私たちはその実現を支援したいと考えています。
2年前から「DX推進を通じてお客様の本業を支える」という方針を掲げ、社内外への浸透に向けて取り組んでいます。このビジョンを具現化するには広範な知識が必要で、人材育成には一定の時間を要します。
そのため、AIなどのツールを活用し、効率的に支援体制を構築することを目指しています。
DXの実現を通じてお客様にさらなる価値を提供することで、当社自身の成長にもつながる未来を創造していきたいと考えています。
────同じ分野の企業や組織に、ナレフルチャットを勧めるとしたら、どんな部分を特に推したいとお考えですか?
一番のおすすめしたいポイントは「プロンプト作成サポート」ですね。
期待した回答が得られない、プロンプト自体がわからないといったお悩みやハードルを抱えている方にとっては、素晴らしいサポート機能だと思います。
また、クレジット単位の料金体系も導入しやすい点だと思います。
1ユーザーごとの課金制だと、実際に使わない人が出たり、利用状況を確認する手間が発生したりと、導入後の管理が煩雑になります。
その点、ナレフルチャットはこうした負担が少なく、スムーズに運用できるのが魅力です。
さらに、公式テンプレートや動画といったサポートが充実しているため、管理者が細かくフォローしなくても、直感的に使える点も優れています。
この分かりやすさが、特に幅広い従業員に利用を促す際に役立つ部分だと思います。
──最後に、生成AIを活用する重要性について感じていることや、他社に向けて伝えたいメッセージがあればお願いします
正直私としては、生成AIを使わない理由がないなと思っています。
まずは触れてみることが重要です。AIができることを知らないと、自分の業務や会社の課題をAIで解決できる可能性に気づけないため、それが一番のハードルになります。さらに、生成AIの活用では「プロンプト」を適切に作成する難しさがあり、ある程度の知識が必要な場面もあります。
実際、プロンプトに特化したエンジニアや資格が登場しているほどです。
その点、ナレフルチャットはプロンプト作成のハードルを低くしてくれるので、初心者でも扱いやすく、見えなかった課題に気づけるきっかけを与えてくれます。
例えば、プレゼン資料がこれまで2週間かかっていたものが、わずか2時間で完成することも可能です。
この流れは、かつてガラケーしかなかった時代にスマートフォンが登場した時と似ていると思います。当時は「スマホなんて必要ない」と思っていた人も、今では誰もが当たり前のように使っています。AIも同じで、近い将来、多くの人が当たり前に使う時代が来るでしょう。
その時に遅れを取らないためにも、まずは試してみるのが大切です。
仕事でもプライベートでも、ナレフルチャットのようなツールを使い、AIを活用する第一歩を踏み出してほしいと思います。