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生成AIコラム

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AIエージェントをコールセンターで活用する方法とは?導入事例7選と導入ステップを徹底解説

はじめに

「コールセンターのオペレーターが足りない」「24時間対応が求められているのに人手が追いつかない」「応対品質のばらつきをどうにかしたい」 こうした悩みを抱えるコールセンター担当者は多いでしょう。

その課題の突破口として注目されているのが、AIエージェントの導入です。自律的に判断・行動するAIが、一次対応や振り分け、オペレーター支援まで幅広く担うことで、業務効率と応対品質の両立が現実のものになってきました。大手金融機関から保険会社、家電量販店まで、業種を問わず導入事例が相次いでいます。

本記事では、コールセンターにAIエージェントを導入する具体的なメリットと活用方法、国内6社の最新事例、失敗しない実装ステップまでを網羅的に解説します。「自社でも使えるか?」という視点で読み進めてもらえると参考になるはずです。

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AIエージェントとは

AIエージェントとは、特定の目標に向かって自律的に判断・行動するAIシステムのことです。チャットボットなどのAIツールの単純な自動応答とは異なり、状況を理解して最適な手順を自分で組み立て、必要に応じて外部システムとも連携しながらタスクを完遂します。

AI開発各社は以下のようにAIエージェントを定義しています。

OpenAIの定義 
私たちはエージェントを、ユーザーの代わりに独立してタスクを遂行するシステムとして捉えています。 
出典:「エージェント構築のための新しいツール」OpenAI

Googleの定義 
AI エージェントは、AI を使用してユーザーの代わりに目標を追求し、タスクを完了させるソフトウェア システムです。推論、計画、メモリーが可能であることが示されており、意思決定、学習、適応を行うレベルの自律性を備えています。 
出典:「AI エージェントとは」Google

これらの定義に共有するのは、いずれも「独立して」「ユーザーの代わりに」といった自律性が含まれていることです。

AIエージェントについては、以下の記事で詳しく解説しておりますので、ご参照ください。

参考記事:AIエージェントとは?特徴・メリット・国内企業の活用事例まで徹底解説

コールセンターでAIエージェントが注目されている背景

コールセンター業界ではAIエージェントへの関心が急速に高まっています。ここにはいくつかの理由があります。

まず深刻なのが人手不足と採用難です。厚生労働省の「令和6年上半期雇用動向調査」によると、コールセンターが含まれる「サービス業(他に分類されないもの)」の離職率は10.9%と、全産業のなかで3番目に高い水準にあります。

引用・参照:「令和6年上半期雇用動向調査結果」厚生労働省

高い離職率がオペレーター不足を慢性化させ、採用・教育コストを押し上げるという悪循環が続いていると言えるでしょう。

次に、顧客ニーズの多様化と24時間対応の一般化も重大な要素です。ECや金融サービスの普及により、夜間・休日でもサポートを求める声は増え続けています。しかし人員だけでこれに応えるのはコスト的に現実的ではありません。

また、導入に追い風となっているのが、生成AIと音声認識技術の急速な進化です。従来コールセンターに導入されていたボットには、電話中にプッシュボタンに入力をしてもらうものが多く、人が話すように会話することは難しいものでした。

これに対し、最新のAIエージェントは自然な音声でやり取りしながら用件を特定し、そのまま受付を完結させることも可能になっています。技術の進化が、コールセンターにおけるAIエージェントの実用性を大きく引き上げていると言えるでしょう。

AIエージェント導入で解決できるコールセンターの課題

AIエージェントがコールセンターにもたらすメリットは多岐にわたりますが、特に効果が大きい課題として次の3点が挙げられます。

  • 対応時間の短縮と処理能力の向上
  • 応対品質の標準化と属人化の防止
  • 人件費・教育コストの削減

それぞれの内容を詳しく見ていきましょう。

対応時間の短縮と処理能力の向上

AIエージェントを導入することで、1件あたりの処理時間を大幅に短縮可能です。AIが即座に用件を分類し、必要な情報を自動で収集・記録するため、オペレーターが対応後に行う後処理も削減されます。

また、処理能力の面でも、AIは同時に複数の問い合わせを並行して受け付けられるため、対応件数の向上が期待できます。24時間365日稼働できるため、時間外の問い合わせにも一次対応が可能です。

応対品質の標準化と属人化の防止

コールセンターの悩みのひとつに、対応品質がオペレーターによって大きく異なってしまうという問題があります。ベテランと新人では回答の正確さや対応スピードに差が出やすく、顧客満足度に影響している場合もあるでしょう。

AIエージェントは、設定されたナレッジをもとに常に一定の品質で回答するため、このばらつきを解消できます。また、オペレーター支援の文脈でも、AIがリアルタイムで最適な回答候補を提示することで、新人でもベテランに近い水準の応対が可能になります。

人件費・教育コストの削減

AIエージェントが一次対応や定型業務を担うことで、オペレーターはより複雑・高度な対応に集中できます。結果として、必要な人員数を抑えつつサービス水準を維持することが可能になるのです。

また、FAQの自動生成やナレッジベースの整備にAIを活用することで、新人教育にかかる時間やコストも削減できます。経験則に依存していた応対ノウハウをデータ化・体系化する効果も期待できるでしょう。

コールセンターにおけるAIエージェントの活用方法

AIエージェントはコールセンター業務のさまざまな場面で活躍します。主な活用方法として以下5つをそれぞれ解説していきます。

  • オペレーター支援
  • 一次対応の自動化
  • データ分析・VOC活用
  • 多言語対応
  • オペレーターの教育

オペレーター支援

オペレーターが顧客と通話しながら、最適な回答候補や関連情報を即座にサーチできるようにするのがオペレーター支援です。担当者はAIを参照しながら対応できるため、回答精度が上がり、処理時間も短縮されます。

この領域で特に注目されているのがRAG(Retrieval-Augmented Generation)の活用です。社内のFAQや製品マニュアル、過去の応対履歴をナレッジベースとして整備し、AIがその情報を参照しながらリアルタイムで回答を生成します。

社内に散在している暗黙知をAIが活用可能な形に変換できるため、ベテランしか知らないノウハウを組織全体で活かせるようになります。

RAG活用の事例については、以下の記事で詳しく解説しておりますので、ご参照ください。

参考記事:RAG活用事例13選!社内検索・顧客対応など活用場面別に解説

一次対応の自動化

顧客からの問い合わせに対し、AIが最初に対応して用件を受け付け、完結できるものはそのまま処理し、複雑なケースのみオペレーターへ引き継ぐことが可能です。従来の自動音声案内との最大の違いは、AIが顧客の自由な発言を理解して対応できる点です。

「〇番を押してください」という操作を顧客に求める必要がなく、問い合わせ内容に応じてシナリオが自動的に分岐します。

シニア世代など音声入力が得意でない顧客への対応も、会話の流れに合わせて柔軟に進めるため、途中離脱が減りサービス満足度が向上するでしょう

データ分析・VOC活用

AIは通話内容をリアルタイムでテキスト化・要約し、顧客の声(VOC:Voice of Customer)を大量かつ迅速に分析できます。クレームの傾向や頻出する問い合わせテーマを可視化することで、製品改善やFAQの見直しに活かすことが可能です。

従来は担当者が手作業で録音を聞き返したり、エクセルに転記したりしていた作業を、AIが自動処理してくれるため、分析のスピードと精度が大幅に向上します。

また、コールセンターが蓄積してきた応対データを、マーケティングや製品開発に接続する入口としても機能します。

多言語対応

訪日外国人の増加やグローバル展開を進める企業にとって、多言語対応は喫緊の課題です。AIエージェントは多言語での音声認識・翻訳・回答生成が可能であり、外国語対応のオペレーターを大量に確保しなくても、複数言語のサポートを実現できます。

顧客満足度の充実はもちろん、翻訳外注費の削減にもつながる効果があるでしょう。

オペレーターの教育

AIを活用したロールプレイや応対シミュレーションにより、新人教育の効率を高めることができます。実際の通話データをもとにしたフィードバックや、対応事例の自動整理・提示により、教育担当者の負荷も削減されます。

一問一答や座学形式ではない研修を、人手を割かずに取り入れることが出来るのは、大きなメリットと言えるでしょう。

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コールセンターへのAIエージェント導入事例7選

ここからは、AIエージェントをコールセンターに導入した国内企業の具体的な事例を紹介します。業種・規模・活用目的がそれぞれ異なるため、自社の状況に近い事例から参考にしてください。

  • 三井住友カード:2028年度に業務の7割を自動化
  • SBIいきいき少額短期保険株式会社:受付完結率70%越えを実現
  • JALカード:音声案内でスムーズな顧客対応を実現
  • ビックカメラ:店舗の電話応対で負担減
  • 三菱UFJ銀行:着信を適正なオペレーターへ振り分け
  • ベルシステム24:大手コールセンターが自社開発
  • ソフトバンク:カスハラ対策にAI導入

三井住友カード:2028年度に業務の7割を自動化

三井住友カードのコンタクトセンターには月間約50万件超の問い合わせが寄せられており、長期的に安定した応対体制の確保が課題となっていました。

そこで、その課題を解決するため、問い合わせに安定的に、かつ 24 時間 365 日応対することが可能な AI オペレーターを 実証実験を経て導入に至りました。

当初の導入範囲は「当社を装った不審通知に関する問い合わせ」への対応から開始し、2025年度内に「カードが使えない際の問い合わせ」へと拡大。段階的に対応範囲を広げ、最終的には問い合わせ全体の過半数をAIが処理する体制の構築を目指しています。

24時間365日の安定した自動応対体制を実現しながら、顧客体験の向上とオペレーター負担の軽減を両立させるモデルケースと言えるでしょう。

参照:「三井住友カードのコンタクトセンターにGen-AXのAIオペレーターを導入~24時間365日応対可能なコンタクトセンターの構築に向けて~」三井住友カード株式会社,Gen-AX 株式会社

SBIいきいき少額短期保険株式会社:受付完結率70%超を実現

シニア世代向けに死亡保険・医療保険・介護保険を提供するSBIいきいき少額短期保険は、電話問い合わせ対応での課題を抱えていました。従来のボイスボットはシニア世代のゆっくりとした話し方や言い淀みに対応できず、ボイスボットのみで受付を完結できないケースが多かったのです。

AIエージェントを2025年9月より本導入したことで、1件あたりの後処理時間は約10分から1分程度に短縮し、音声確認も約5分から1分程度へと改善されました。また、自然なやり取りで途中離脱を防止し、受付完結率70%超を実現したというデータも報告されています。

プッシュボタン式だった従来のボイスボットとは異なり、顧客が自由に話すだけで用件が特定される仕組みへの転換が、大幅な効率化を実現したと言えるでしょう。

参照:「SBIいきいき少額短期保険株式会社|生成AIエージェント型のボイスボットで受付完結率70%超を実現」モビルス株式会社

JALカード:音声案内でスムーズな顧客対応を実現

JALカードの問い合わせ対応では、従来のIVR(プッシュボタン式自動音声)において、顧客が番号を押して用件を選択する手間が課題でした。操作が煩わしいと感じる顧客も多く、誤ったメニューへの「紛れ込み入電」も発生していました。

そんな中、JALカードは「顧客にストレスを与えない、よりスムーズな応対」を目標に、AIエージェントツールを導入。AIが顧客の発話を理解して内容を選別し、AIで回答できる問い合わせはそのまま完結、複雑な内容と判断した場合は担当オペレーターへシームレスに引き継ぐ仕組みです。

番号を押す手間がなくなることで、顧客体験の改善と問い合わせ処理の効率化の達成を狙っています。現システムからの変革を推進する事例と言えるでしょう。

参考記事:「生成AIが音声対話、三井住友カードとJALカードの先行事例を紹介!Gen-AXとソフトバンクの自律思考AI『クロスゴースト』」ロボスタ

ビックカメラ:店舗の電話応対で負担減

大手家電量販店のビックカメラの店舗では、顧客からの電話によるお問い合わせを店舗スタッフが対応したものの、従業員が接客をしていることで応対に時間が掛かってしまうことや、営業時間外のお問い合わせを受け付けられないことが課題になっていました。

そのような状況から、営業時間外の店舗への問い合わせ電話対応を効率化するため、AIエージェントの実証実験に取り組みました

「ビックカメラだから安心して利用できる」という顧客の声を広げることを目指し店舗スタッフが対応できない時間帯の問い合わせを自動で受け付けることで、顧客利便性の向上と店舗スタッフの負担軽減を目指す取り組みです。小売業における店舗電話対応へのAI活用が期待される事例です。

参照:「アシュリオン・ジャパンがビックカメラと協業し新たなVoiceBotサービスのPoC(概念実証)を開始」アシュリオンジャパン・ ホールディングス合同会社

三菱UFJ銀行:着信を適正なオペレーターへ振り分け

三菱UFJ銀行では、従来のIVR(プッシュボタン式)における課題、ガイダンス途中の離脱・誤ったメニュー選択・一部オペレーターへの業務集中を解決するため、NTTドコモビジネスと共同でAIエージェントの導入を推進しました。

2024年3〜7月にかけてPoCを実施し、実際のオペレーターが対応した問い合わせを再現しながら振り分け試験を実施。AIが金融機関独自の専門用語を学習してデータを蓄積することで振り分け精度が向上し、本格導入に至っています。

引用・参照:「生成AIエージェントによるコールセンターソリューションを金融機関に提供開始 ~お客さまの発話をAIが理解し、最適な窓口へスムーズに振り分け~」NTTドコモビジネス株式会社

用件の特定が困難なケースには独自開発の学習技術で対応しており、継続的な精度改善も組み込まれている点が特徴です。

ベルシステム24:大手コールセンターが自社開発

1982年に国内初の本格的なコールセンターサービスを開始したベルシステム24は、長年蓄積したコンタクトセンター運用のノウハウを活かし、AIと人のハイブリッドによる自社独自の自動化ソリューション「Hybrid Operation Loop」の開発に取り組んでいます

引用・参照:「ベルシステム24、国内初の通話データからナレッジベースを自動生成する機能を搭載した、コンタクトセンター自動化ソリューション『Hybrid Operation Loop』を開発開始」株式会社ベルシステム24ホールディングス

ベルシステム24の公式発表では、2024年11月より日本マイクロソフトなどと連携し、通話データからナレッジベースを自動生成する機能(国内初)を搭載したコンタクトセンター自動化ソリューションの開発を開始したことが報告されています。

コールセンター業者自身がAIソリューションを自社開発するという点でユニークな取り組みです。ベンダーに依存せず、自社の業務知見を直接AIに組み込む形で精度を高め、自社運営センターだけでなく外部企業への提供も視野に入れています。

ソフトバンク:カスハラ対策にAI導入

ソフトバンクは2026年2月よりカスハラ対策にAIを導入し、効果をあげています。AI音声変換技術を活用し、受電した顧客の怒鳴り声や感情的な声を、発言内容を変えずにリアルタイムで穏やかなトーンに変換してオペレーターに届ける仕組みです。

引用・参照:「ソフトバンク、怒鳴り声を『怖くない声』に変換するAI コールセンターの“カスハラ”対策」livedoor News

民間調査によると、コールセンターのオペレーターの約7割がカスハラを経験しているとされており、脳科学の観点からも、恐怖を感じると扁桃体が過剰反応して前頭前野の働きが抑制され、オペレーターが言葉に詰まる状態が引き起こされると報告されています。

ソフトバンクはこの仕組みに着目し、「内容はそのままで怖くない声に変換する」ことでオペレーターの冷静な対応を支援しました。怒り抑制のほかに警告メッセージ送信・ノイズ抑制・通話録音の4機能を備えており、画期的な取り組みとして注目されています。

AIエージェント導入で失敗しないための実装ステップ

AIエージェントをコールセンターに導入する際は、計画を立てずに進めると期待した効果が出ないまま終わるリスクがあります。以下のステップを順番に踏むことで、成果につなげられるでしょう。

  • 1.自社課題と導入目的の設定
  • 2.対象業務の選定
  • 3.AIツール・ベンダーの選定
  • 4.ナレッジ・FAQデータの整備
  • 5.PoC(概念実証)による効果検証

1. 自社課題と導入目的の設定

最初に「なぜAIエージェントを導入するのか」を具体化しましょう。人手不足を解消したいのか、夜間対応を実現したいのか、応対品質を標準化したいのかによって、選ぶべきソリューションも変わります。目的が曖昧なまま進むと、導入後に「思ったほど使えない」という評価につながりがちです。

現場オペレーターへのヒアリングを通じて、実際にどの業務で負荷が集中しているのかを把握してから取り組むと、優先順位の設定がしやすくなります。

2. 対象業務の選定

導入目的が固まったら、次はAIエージェントにどの業務を担わせるかを決めましょう。コールセンター業務といっても、問い合わせ内容の一次受付・音声案内・オペレーター支援・通話後の後処理など、自動化できる場面は多岐にわたります

一度にすべてを対象にしようとすると設計が複雑になりすぎるため、まずは「どの業務から始めるか」を絞り込むことが重要です。「どこをAIにして、どこに人を配置するか」という役割分担を最初に明確にしておくことが、現場の混乱を防ぎ、スムーズな導入につながります。

3. AIツール・ベンダーの選定

ツール選定では、機能面だけでなく自社の業務環境との適合するかどうかも確認しましょう。既存のCRMやコールセンターシステムと連携できるか、セキュリティ要件を満たしているか、導入後のサポート体制は十分かといった点を複数ベンダーと比較してください。

クラウド型SaaSは初期費用を抑えられますが、月額コストが利用量に比例して増加します。大規模センターでは自社開発やオンプレミス型も選択肢になりますが、導入・維持コストが高くなる点は事前に把握しておく必要があります。

4. ナレッジ・FAQデータの整備

AIエージェントの回答品質は、与えるナレッジデータの質に大きく依存します。散在しているFAQ・マニュアル・対応履歴を整理し、AIが参照しやすい形に整えることがこの工程のゴールです。

ここが最もコストと時間がかかる工程でもあります。とはいえ、この工程に問題があると、全体のパフォーマンスに影響を及ぼすため、事前にリソースをしっかり確保してから着手するのがおすすめです。

5. PoC(概念実証)による効果検証

本格導入の前に、実際のデータを使って小規模な実証実験を行いましょう。三菱UFJ銀行や三井住友カードのような、主要な企業でもPoCを実施してから本格導入へと移行しています。

この段階で受付完結率・後処理時間・コールバック件数などの定量指標を設定し、目標値と実績を比較することで、投資判断の根拠が明確になります。

AIエージェントをコールセンターに導入した際の費用対効果の考え方

AIエージェントの導入コストは、表面的なツール費用だけで判断すると、後から想定外の支出が発生しがちです。初期費用・ランニングコスト・削減効果・収益改善まで含めた総合的なROI(投資対効果)で評価することが、正しい投資判断につながります。

ここでは基本的な考え方を3つ紹介します。

  • 初期投資とランニングコストを正しく見積もる
  • オペレーション改善による削減効果を算出する
  • 顧客体験向上がもたらす収益効果を評価する

初期投資とランニングコストを正しく見積もる

導入費用はツールのライセンス料だけではありません。カスタマイズ開発・データ整備・既存システムとの連携構築など、見落とされやすい項目が複数あります。

コスト区分主な内訳
初期費用ライセンス料、導入コンサルティング、カスタマイズ開発、インフラ構築、データ整備
ランニングコスト月額利用料、保守サポート、インフラ運用、AIモデルの再学習・チューニング

複数ベンダーから見積もりを取り、隠れたコストも含めたコストの合計で比較することがおすすめです。利用量に応じて月額コストが変動するツールもあるため、自社の問い合わせ件数を踏まえた長期試算も欠かさず行いましょう。

オペレーション改善による削減効果を算出する

削減効果は「何がどれだけ減るか」を具体的な数値で設定することが重要です。PoC段階から受付完結率・後処理時間・コールバック件数などのKPIを測定しておくと、本格導入後のROI試算に使える実績値として活用できます。

効果の種類算出の考え方例
人件費削減AI対応件数 × オペレーター1件あたりの対応コスト
後処理時間削減短縮した時間 × オペレーター時給 × 月間件数
教育コスト削減採用・研修工数の減少分
時間外対応コスト削減夜間・休日の有人対応を代替した件数 × 割増コスト

感覚ではなく数値に基づいてROIを評価することで、経営層への説明資料としても使いやすくなります。

顧客体験向上がもたらす収益効果を評価する

コスト削減と並んで見落とされがちなのが、顧客満足度の向上による収益効果です。応答速度の改善や24時間対応の実現は、解約率の低下や顧客ロイヤルティの向上に直結します。

効果の種類算出の考え方例
解約率低下改善した顧客満足度スコア × 解約率との相関 × 顧客単価
機会損失の削減取りこぼしていた問い合わせ件数 × 成約率 × 顧客単価
多言語対応拡大翻訳外注費の削減 + 対応可能な顧客層の拡大による売上貢献

初期コストが高く見えても、削減効果と収益改善を合算すれば投資回収期間は想定より短くなるケースも多く、トータルで評価する視点が重要です。こうした効果は数値化しにくい側面もありますが、顧客満足度スコアや解約率の変化を追うことで定量的に評価できます。

AIエージェント導入時の注意点

AIエージェントの導入効果を最大化するために、あらかじめ押さえておきたい注意点があります。ここでは、代表的な注意点を3つ紹介します。

  • AI精度の向上には継続的な運用と改善が必要
  • 導入・運用コストを正しく見積もる
  • セキュリティ・プライバシー対策が必須

AI精度の向上には継続的な運用と改善が必要

コールセンターは、間違った回答をしてしまうと、それが直接顧客対応に影響するため、精度の確保は特に重要です。AIの回答精度は導入して終わりではなく、運用データを蓄積しながら継続的にチューニングすることで初めて高まっていきます。

最初の設計段階でどこまでAIに任せるかを明確にし、AIが対応困難なケースをオペレーターへ確実に引き継ぐ設計を作り込んでおきましょう。

まずPoCを実施することは非常に大切ですが、本格導入後の品質管理体制も同時に設計しておくことが失敗を避けるポイントです。

導入・運用コストを正しく見積もる

自社開発で高度なシステムを構築しようとすると、開発費・インフラ費・専門人材の確保など、コストが予想以上に膨らむことがあります。そのため、スモールスタートで始め、効果を確認しながら段階的に拡張するアプローチが現実的です。

複数のベンダーと費用感を比較し、長期的な運用を見据えたコスト設計を行うことをおすすめします。

セキュリティ・プライバシー対策が必須

コールセンターでは、氏名・住所・カード番号・保険情報など、高度に機密性の高い個人情報を扱います。AIエージェントの導入にあたっては、データの保存場所・暗号化・アクセス権限の設定を必ず確認する必要があります

金融・保険・医療といった規制の強い業種では、関連法規への対応(個人情報保護法・金融庁ガイドラインなど)も考慮したシステム設計も必要です。ベンダー選定の段階で、セキュリティ認証(ISO27001など)の取得状況や、データの取り扱いポリシーを具体的に確認するようにしましょう。

オペレーター支援ならナレフルチャット

AIエージェントの活用が広がるなか、まず何から始めるか迷う担当者も多いはずです。大規模なシステム構築の前に、オペレーター支援から着手するのが現実的な第一歩です。社内のナレッジをAIに読み込ませ、オペレーターが対応中に必要な情報をすぐ引き出せる環境を整えるだけでも、応対品質と処理速度は大きく変わります。

そのオペレーター支援に活用できるのが、ナレフルチャットです。

ナレフルチャットはRAG(Retrieval-Augmented Generation)機能を搭載しています。RAGとは、AIが回答を生成する際に、あらかじめ登録した社内ドキュメントやFAQを参照しながら回答を生成する仕組みです。

参考記事:RAGとは?ChatGPTで社内データを活用する方法・注意点を解説

PDFやWordなどのファイルを、そのまま事前にアップロードしておくだけで、オペレーターがチャット形式で質問すると、該当する情報をもとにした回答をすぐに受け取れます。

対応業務や部署ごとにエージェントを個別に作成でき、リンクを共有するだけで担当者に展開できるため、ナレッジを組織全体で活用することが可能です。

また、コールセンターで扱う情報は機密性が高く、セキュリティは外せない要件です。ナレフルチャットは学習データに利用されないAPIを活用しているため、入力内容がAIの学習データに一切使われません。利用ユーザーは管理者が制限できるクローズドな環境で運用でき、プロンプトの共有先も社内に限られます。

ISMS認証(ISO27001)とプライバシーマークを取得した企業が開発・運営しており、情報管理体制の信頼性も確保されている点も特徴です。

導入コストの面でも、月額40,000円〜(税抜)の企業単位の定額制のため、利用人数が増えても追加費用が発生しません。

オペレーター全員に展開しても費用が膨らまない点は、コスト管理を重視する担当者にとって大きなメリットと言えるでしょう。

コールセンターでのAI活用を推進されている方は、ぜひナレフルチャットもご検討ください。

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ナレフルチャット運営チーム

法人向けクローズド生成AIチャットサービス「ナレフルチャット」の企画・開発・運用を手がけています。
プロンプト自動生成・改善機能や組織内でのノウハウ共有機能など、独自技術の開発により企業の生成AI活用を支援しています。

「AIって難しそう...」という心の壁を、「AIって面白そう!」という驚きで乗り越えていただけるように
日々刻々と変化する生成AI業界の最新動向を追い続け、魅力的な記事をお届けしていきます。

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