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生成AIコラム
AIエージェントとは?特徴・メリット・国内企業の活用事例まで徹底解説

目次:
はじめに
「事務対応に時間をかけすぎている」「業務量が多く市場の変化についていけない」「とは言え、専門ツールを導入するにはコストが大きい」といった悩みを抱えるビジネスパーソンは多いでしょう。
その課題を解決するのが、AIエージェントです。適切に設定されたAIエージェントなら、メール作成から顧客調査まで数分程度で完了できるようになります。
本記事では、AIエージェントの基本概念から企業での活用事例まで、実践的な視点で解説します。業務の生産性向上・コスト削減を目指す方は、ぜひ参考にしてください。
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AIエージェントとは?
AIエージェントは、人間の指示に基づいて自律的に判断し、複数のタスクを連続して実行できるAIシステムです。
ただし、各企業によってAIエージェントの定義は異なります。
例えば、ChatGPTなどの生成AIを提供するOpenAI社では、AIエージェントについて以下のような定義づけをしています。
OpenAIの定義
私たちはエージェントを、ユーザーの代わりに独立してタスクを遂行するシステムとして捉えています。
出典:「エージェント構築のための新しいツール」OpenAI
また、Geminiなどの生成AIや検索エンジンを提供するGoogle社は、以下のように定義しています。
Googleの定義
AI エージェントは、AI を使用してユーザーの代わりに目標を追求し、タスクを完了させるソフトウェア システムです。推論、計画、メモリーが可能であることが示されており、意思決定、学習、適応を行うレベルの自律性を備えています。
出典:「AI エージェントとは」Google
従来のAIが単発の質問に対して的確な回答を返すのに対し、AIエージェントは、複数のステップを踏みながら最終的な目標を達成する点が特徴です。
つまりAIエージェントは、AI自身が考え、必要に応じてインターネットやデータベースを検索し、プログラムを生成して実行し、ファイルを読み書きするといった、一連の流れを自律的に行うことができるのです。
上記の定義をより噛み砕いて説明すると、以下の図解のようなイメージです。

例えば、「来月の売上予測レポートを作成して」という指示に対して、AIエージェントは過去のデータを収集し、分析を行い、グラフを作成し、レポートをまとめる、といった一連の作業を自動で実行できます。
現在、AIエージェントの導入を推進している企業も多く、従業員はより創造性の高いコア業務に集中できる環境が広がってきています。
AIエージェントの5つの特徴
世界最大規模のIT・ICT(情報通信技術)分野のコンサルティング企業であるGartner社は、AIエージェントの特徴として、以下の5つを定義しました。
- 適応性
- 積極性
- 目的の複雑性
- 環境の複雑性
- 自律性
適応性は、状況が変わったときに自分で対応を変える力です。システムエラーが起きたり新しい情報が出てきたりしても、うまく対応方法を変えて目標を達成します。
積極性は、先のことを考えて自分から行動する力です。ChatGPTなどの生成AIは人からの指示がなければ動きませんが、AIエージェントは「次は何をすべきか」を自分で判断して実行できます。
目的の複雑性は、複雑で関連し合うタスクをまとめて処理できる力です。データを集めて、分析して、レポートを作るといった一連の作業を、最初の指示だけで最後まで完了させることができます。
環境の複雑性は、複雑な環境でもちゃんと動ける力です。他のシステムと連携したり、外部のAPIを使ったり、データベースから情報を取ってきたりと、様々な要素と連携しながら作業を進められます。
自律性は、人の手助けがほとんどなくても一人で動ける力です。人間による介入がなくとも、目的・目標から逆算して行動することが出来ます。
この5つの特徴により、AIエージェントは毎回細かい指示を出さなくても自動で稼働してくれるため、業務効率が圧倒的に向上します。
参照:「AIエージェントとは?定義と特性、AIエージェント活用の利点やリスク、導入の課題」Gartner
生成AIとの違い
次に、AIエージェントとChatGPTなどの生成AIの違いを整理してみましょう。AIエージェントと生成AIは混同されがちですが、実際には設計思想と使い方が大きく異なります。
項目 | 生成AI | AIエージェント |
---|---|---|
主な機能 | テキスト・画像などの生成 | タスクの自律実行 |
動作パターン | 質問に対しての回答 | 目的達成のための処理 |
判断能力 | 限定的 | 高い自律性 |
外部連携 | 基本的になし | 積極的に活用 |
生成AIは「何を作るか」に重点を置く一方で、AIエージェントは「目的をどう達成するか」に重点を置いています。確かにChatGPTなどの最新の生成AIは、質問に対して質の高い回答をしてくれますが、その回答を基にした具体的な行動は人間が実行する必要があります。
その一方で、AIエージェントは回答の生成から実際の行動まで一貫して実行できます。
この違いにより、生成AIは創作活動やアイデア出しに向いている一方で、AIエージェントはルーチンワークの自動化や複雑なビジネスプロセスの効率化に力を発揮します。
ChatGPTが活用できる業務については、以下の記事でまとめていますので、ご参照ください。
参考記事:ChatGPTの社内利用で業務効率化!利用例と導入・浸透のポイントを解説
AIエージェントを利用するメリット
AIエージェントを利用することによって、企業は従来のAI活用では実現できない本格的な業務の改革を期待できます。ここでは大きく分けて、以下の2つのメリットについて解説します。
- 業務効率化
- パフォーマンス向上
業務効率化
AIエージェントによる業務効率化は、生成AIのそれを大きく上回ります。
従来、生成AIの出力には人間による品質チェックや調整が必要でした。しかしAIエージェントは、目標設定から実行、品質管理まで一連のプロセスを自律的に処理することが可能です。
これにより、人的リソースを必要とする複雑なタスクを、安価に、迅速に、大規模に自動化することができます。データ入力や分析、レポート作成など、様々な業務をほぼ完全に自動化することが可能です。
パフォーマンス向上
AIエージェントは24時間365日稼働でき、疲労や集中力の低下がないため、一貫して高いパフォーマンスを維持できます。また、エージェントごとに専門分野に特化させることもできるため、社内に足りない特定分野のパフォーマンス向上も狙えます。
AIエージェントの回答は、従来の生成AIよりも包括性が高く正確、かつユーザーに合わせてパーソナライズされており、顧客体験の大幅な向上が期待できます。
AIエージェントの活用例
上述の通り、AIエージェントは幅広い業務領域で活用されています。ここでは代表的な3つの活用例を紹介します。
- 事務作業の効率化
- 顧客対応の質向上
- 営業支援
事務作業の効率化
データ入力や書類作成といったルーチンワーク的な事務作業は、AIエージェントが最も力を発揮する分野です。従来は人間が長時間かけて行っていた業務を、短時間で正確に実行できます。
PDFなどの請求書の処理であれば、AIエージェントが内容を読み取り、適切なシステムに入力し、承認フローに回すまでの一連の作業を自動化できます。OCR技術と連携することで、紙の請求書でも電子データと同様に処理可能です。
経費精算や勤怠管理の処理でも活用でき、従業員が提出した情報のチェックを行い、規定に沿って自動承認するか人間の確認が必要かを判断することができます。
会議資料の作成や議事録の整理でも活用できます。過去の会議資料を自動で参照し、新しい提案資料を作成したり、会議の音声記録から要点を抽出し、整理された議事録を自動生成したりすることが可能です。
ちなみに、議事録作成については、ChatGPTを上手に活用すれば可能です。
以下の記事でChatGPTで議事録作成をする方法を解説しているので、ご参照ください。
参考記事:ChatGPTで議事録作成を効率化!やり方・目的別のプロンプト例も紹介
顧客対応の質向上
AIエージェントは、ChatGPTなどを活用した従来のチャットボットを大きく上回る顧客対応能力を持っているため、顧客対応品質の向上を実現できます。
問い合わせ対応では、顧客の質問内容を正確に理解し、過去の対応履歴や商品情報を参照して最適な回答をすることが可能。単純なFAQ対応を超えて、顧客の状況に応じたパーソナライズドされた対応もできます。
他にもアフターサポートでも活用できます。アフターアポートでは、単に○日後にメッセージを送るというのではなく、商品の使用状況のデータを確認した上で、最適なタイミングでメンテナンス時期の案内や、より効果的な活用方法の提案を行うことが可能です。
営業支援
AIエージェントは営業プロセスの様々な段階で使用できるため、営業担当者の活動支援にも活用できます。
例えば、見込み客の発掘で活用可能で、ざっくりとした指示でも既存の顧客データや市場データを分析し、成約可能性の高いターゲットを特定・リスト化してくれます。
他にも提案資料の作成や自動フォローアップも、AIエージェントを営業活動に活用できる領域として挙げられます。
ChatGPTも、正しい活用法を知っていれば、上記のような営業活動への活用が可能です。
以下の記事で詳しく解説しておりますので、ご参照ください。
参考記事:営業活動でのChatGPT活用方法!成果を出す使い方と今すぐ使えるプロンプト集
AIエージェントが利用できるサービス例
現在、多くのテクノロジー企業がAIエージェント機能を提供しており、企業や個人が手軽に活用できる環境が整いつつあります。ここでは、代表的な4つのサービスを紹介していきます。
サービス名 | 運営会社 | 主な特徴 |
---|---|---|
ChatGPT Agent | OpenAI | 統合型エージェントシステム |
Operator | OpenAI | ブラウザ操作の自動化 |
Copilot Coding Agent | Microsoft/GitHub | ソフトウェア開発特化 |
AlphaEvolve | Google DeepMind | アルゴリズム発見・最適化 |
OpenAI「ChatGPT Agent」

OpenAIが提供するChatGPT Agentは、2025年7月にリリースされた統合型エージェントシステムです。OpenAIが持つ技術である、Operator によるウェブサイトとの対話機能、deep research による情報統合のスキル、ChatGPTのインテリジェンスと会話能力、この3つの能力を統合しているのが強みです。
仮想コンピュータ上でブラウジング・ターミナル・API・コネクタを使って複雑なワークフローを実行できます。

ChatGPT Agentは、ChatGPTのPro、Plus、Teamプランのユーザーであれば「新しいチャット」から「エージェントモード」を選択するだけで利用開始できるため、最も手軽に導入できます。
項目 | 詳細 |
---|---|
運営会社 | OpenAI |
価格 | Pro:月額200ドル、Plus:月額20ドルなど |
導入社数 | 数百万ユーザー(個人利用含む) |
特徴 | 統合エージェント、ブラウザ操作、Deep Research |
OpenAI「Operator」

Operatorは、2025年1月に発表されたブラウザ操作特化型のAIエージェントです。現在はChatGPT Agentに完全統合済みで、独立したサービスとしては提供されていません。
当初は米国のChatGPT Proプランユーザー限定で提供されていました。人間と同様にWEBページを見ることで参照したり、クリックなどの操作を行ったりできるAIエージェントでした。
項目 | 詳細 |
---|---|
運営会社 | OpenAI |
価格 | Pro:月額200ドル |
導入社数 | 米国Proユーザーのみ(個人含む) |
特徴 | ブラウザ自動参照・操作 |
Microsoft / GitHub「Copilot Coding Agent」

「Copilot コーディング エージェントについて」GitHub Docs
GitHub Copilot Coding Agentは、2025年5月にプレビュー版がリリースされたソフトウェア開発専用のAIエージェントです。GitHubとMicrosoftが共同開発しており、コード実装だけでなく、GitHub内で起きたエラーの自動解決や完全なコードの作成まで対応しています。
開発者はGitHub IssueをCopilotに割り当てるか、VS Codeから指示するだけで作業を開始することが可能です。この機能は、企業向けプランであるGitHub Copilot Enterprise / GitHub Copilot Pro+に契約しているユーザーのみ利用できます。
項目 | 詳細 |
---|---|
運営会社 | Microsoft / GitHub |
価格 | Business $19/ユーザー/月、Enterprise $39/ユーザー/月 |
導入社数 | 未公開(個人利用サービス「GitHub Copilot」は2000万ユーザー) |
特徴 | 自動コード作成、Issue解決、PR生成 |
Google「AlphaEvolve」

「AlphaEvolve: 高度なアルゴリズムを設計するための Gemini 搭載コーディングエージェント」Google DeepMind
AlphaEvolveは、Google DeepMindが2025年5月に発表したアルゴリズム発見・最適化に特化したAIエージェントです。Geminiを活用しており、アルゴリズムや複雑な数学的課題に対する解法をAI自身が見つけ出し、最適化する新しいアルゴリズムを自動作成できるのが最大の特徴です。
数学問題の解決から、Googleのデータセンター効率化(0.7%のリソース回収を実現)、TPUチップ設計の最適化まで幅広く活用されています。現在は、学術活用向けに早期アクセスプログラムを計画しています。
項目 | 詳細 |
---|---|
運営会社 | Google DeepMind |
価格 | 学術研究者向け早期アクセス予定 |
導入者数 | Google内部運用中 |
特徴 | アルゴリズム発見、コード最適化、数学問題解決 |
AIエージェントを業務に活用した企業例
国内企業でも、AIエージェントを積極的に活用している事例が増えています。
ここでは具体的な成果を上げている3社の取り組みを詳しく紹介します。
- パナソニック コネクト
- 明治安田生命
- 博報堂テクノロジーズ
パナソニック コネクト

パナソニックコネクト社では、OpenAIのGPTをベースにした自社向けAIアシスタント「ConnectAI」を全社員約12,400人に展開し、業務効率化で大きな成果を上げています。2023年6月から2024年5月までの1年間で、全社合計18.6万時間の労働時間削減を実現しました。
特に注目すべきは品質管理業務での活用です。従来は熟練者のノウハウに依存していた品質管理規定や過去の品質問題事例の検索を、パナソニックコネクト社ではAIエージェントが自動化しています。社員は品質管理規定630件、11,743ページの情報を瞬時に検索・参照でき、製品設計時に迅速な判断をすることが可能になりました。
回答精度に対する社員評価は5点満点中3.5点と高い結果となっており、従来では経験者でも判断が難しかった設計段階での問題特定が容易になっています。
参照:パナソニック コネクト 生成AI導入1年の実績と今後の活用構想~1年で労働時間を18.6万時間削減~
明治安田生命

明治安田生命社では、2024年10月に営業活動支援AIエージェント「MYパレット」を導入し、約3万6000人の営業職員が「デジタル秘書」として活用しています。このシステムは顧客の年齢、趣味・嗜好、過去の契約履歴、地域特性などを分析し、営業担当者が、個別のライフステージやニーズに合わせた保険商品を提案することの支援をしています。
MYパレットの導入により、訪問準備や報告作業にかかる時間を従来比で30%削減を実現。顧客訪問時のヒアリング情報入力や、それに基づくお礼文作成などの業務も音声入力機能を用いて自動化し、営業担当者がより多くの時間を顧客対応に割けるようになりました。
同社では今後、本社や事務職員約1万1000人への拡大を視野に入れ、ヘルスケアや法務、教育などの領域特化型AIエージェントの開発を進めています。
参照:明治安田生命、全社での生成AI活用視野に営業職3万6000人が使うAIエージェントを導入
博報堂テクノロジーズ

博報堂テクノロジーズ社では、2024年3月に商品開発プロセスを効率化するAIサービス「マルチエージェント ブレストAI」の業務活用を開始しました。このシステムでは、企画・製造・物流・リテール営業など、各フェーズの専門知識を持つ複数のAIが自立的に議論し、商品コンセプト段階から実現性を考慮したアイディアを創出できるのが特徴です。
従来は、初期の商品企画段階から多くの専門人材を巻き込んで検討を重ねる必要があり、人材確保や工数の面で課題がありました。マルチエージェント ブレストAIの導入により、商品開発で生じる手戻りを大幅に減少させ、プロセス全体の効率化を実現しています。
効率化により創出された時間を、クリエイティビティを発揮できる業務に注力することで、品質向上も同時に達成しています。
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参考記事:社内問い合わせ対応を自動化|介護現場で進む生成AIの活用法とは
生成AIの社内導入をお考えの企業様は、ぜひナレフルチャットを選択肢の一つとしてご検討ください。

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「AIって難しそう...」という心の壁を、「AIって面白そう!」という驚きで乗り越えていただけるように
日々刻々と変化する生成AI業界の最新動向を追い続け、魅力的な記事をお届けしていきます。