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生成AIコラム

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うさぎでもわかるAgentic RAG入門

はじめに

「RAGを導入したのに、期待したほど精度が出ない…」

そんな悩みを抱えている方、多いのではないでしょうか。従来のRAG(Retrieval-Augmented Generation)は、外部データを検索してLLMに渡すことで回答精度を高める技術として注目されてきました。しかし、複雑な質問や複数の情報源を横断する必要がある場面では、1回の検索だけでは限界があります。

そこで登場したのがAgentic RAGです。

Agentic RAGを一言でいうと、「AIが自分で考えて、何度も調べ直して、納得いくまで答えを探し続ける仕組み」です。従来のRAGが「1回だけ検索して終わり」なのに対し、Agentic RAGは「必要なら何度でも検索し直す」という大きな違いがあります。

この記事では、Agentic RAGの基本から導入方法まで、うさぎでもわかるようにやさしく解説していきます。

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Agentic RAGとは

AIが自分で「考えて」「判断して」「何度も検索し直して」答えを導き出す仕組み、それがAgentic RAGです。

基本的な仕組み

Agentic RAGは、従来のRAGにAIエージェントを組み込んだシステムです。AIエージェントが司令塔となり、以下のサイクルを自律的に回します。

  1. 計画(Plan) – 質問を分析し、どう調べるか戦略を立てる
  2. 行動(Act) – 検索やツールを使って情報を取得する
  3. 評価(Evaluate) – 取得した情報が十分かどうか判断する
  4. 修正(Refine) – 足りなければ別の方法で再検索する

このサイクルを必要に応じて何度も繰り返すことで、従来のRAGでは得られなかった高精度な回答を生成できます。

特に「複数の文書を比較して」「過去の事例を踏まえて」といった複合的な質問で、Agentic RAGの威力を実感できます。

構成要素

Agentic RAGは主に3つの要素で構成されています。

要素役割
AIエージェント全体を統括する司令塔。検索戦略の決定、結果の評価、再検索の判断を行う
検索ツール群ベクトルDB、Web検索API、外部API(Notion、Slackなど)を状況に応じて使い分ける
メモリ・コンテキスト管理会話履歴や検索結果を保持し、次のアクションに活用する

以下の図がAgentic RAGの全体像をわかりやすく示しています。


画像出典 Alex Xu氏のX投稿

従来のRAGとAgentic RAGの違い

「一発検索」vs「粘り強く調べ尽くす」という違いがあります。

たとえるなら、従来のRAGは「指示されたキーワードで資料を1回だけ探して報告する図書館司書」です。もし最初の検索で良い資料が見つからなくても、そこで報告は終わってしまいます。

一方、Agentic RAGは「目標達成のために自ら計画を立てる研究アシスタント」です。情報が足りなければ「Web検索も使おう」「別のキーワードで再検索しよう」と判断し、目標を達成するまで作業を続けます。

アーキテクチャの比較

項目従来のRAGAgentic RAG
検索回数1回で完結必要に応じて複数回
判断能力固定パイプライン動的に最適化
ツール活用単一DB検索のみWeb検索、API、計算ツールなど多様
自己修正なし検索結果を評価し再検索可能
複雑なクエリ対応苦手得意(サブタスク分解)

回答精度の違い

従来のRAGは、最初の検索結果に大きく依存します。古い情報や関連度の低い情報が含まれていても、そのまま回答に使われてしまうリスクがあります。

Agentic RAGは、取得した情報の鮮度や関連性を検証しながら精緻化していきます。「この情報だけでは不十分」と判断すれば、自動的に追加の検索を行います。

柔軟性の違い

従来のRAGは、検索→生成という固定的なフローで動作します。

Agentic RAGは、状況に応じて戦略を変更できます。たとえば、ベクトル検索で見つからなければWeb検索に切り替えたり、複数のAPIを組み合わせたりと、柔軟な対応が可能です。

Agentic RAGでできること

「調べて終わり」じゃなくて「調べて、考えて、行動」までできるようになります。

複雑なマルチステップタスクの自動化

Agentic RAGは、複雑な質問を自動的に分解して段階的に解決できます。

例)「競合A社とB社の新製品を比較して、主要な違いを3点教えて」

  1. まずA社の製品情報を検索
  2. 次にB社の製品情報を検索
  3. 両者を比較して違いを抽出
  4. 3点に要約して回答

このような複数ステップの処理を、人間が指示しなくてもAIが自律的に実行します。

外部ツールとの連携

Agentic RAGは、単なるベクトル検索にとどまらず、さまざまな外部ツールを活用できます。

  • Web検索API(Tavily、Bingなど)で最新情報を取得
  • 計算ツールで数値計算やデータ分析を実行
  • データベースクエリで構造化データを取得
  • Slack / Notion / GitHub連携で社内情報にアクセス

これにより、「調べる」だけでなく「計算する」「集計する」「連携する」といったアクションも可能になります。

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活用事例・ユースケース

Agentic RAGを実際にどう使うのか、具体的な活用方法を紹介します。

カスタマーサポートでの活用

「先月の請求額が違うんですが」という問い合わせ

従来のRAGでは、FAQから「請求に関するよくある質問」を返すだけでした。Agentic RAGでは、AIエージェントが以下のように自律的に動きます。

[ユーザー] 先月の請求額が違うんですが。Aプランに変更したはずなのに高いままです。

[AIエージェントの思考と行動]
1. 顧客IDを特定 → CRMを検索
2. 契約変更履歴を確認 → 契約DBを検索 → 「11/15にAプラン変更申請あり」
3. 請求データを確認 → 請求システムを検索 → 「11月分は旧プランで計算」
4. 原因を分析 → 「プラン変更は翌月適用のため、11月は旧料金が正しい」
5. 回答を生成

[回答]
お問い合わせありがとうございます。確認したところ、11/15にAプランへの
変更手続きが完了しています。プラン変更は翌月1日から適用されるため、
11月分は旧プランでの請求となっております。12月分よりAプランの料金が
適用されますのでご安心ください。

このように、複数のシステムを横断して「なぜそうなっているか」まで調べて回答できるのがAgentic RAGの強みです。

社内ナレッジ検索での活用

「過去に似たような障害があったか調べて、対応方法を教えて」

[ユーザー] 本番環境でDBの接続タイムアウトが頻発しています。過去に似た障害はありましたか?

[AIエージェントの思考と行動]
1. 障害報告書を検索 → 社内Wiki検索 → 3件ヒット
2. 関連性を評価 → 「2024年3月の事例が類似度高い」
3. 詳細を取得 → 該当ドキュメントを読み込み
4. 追加情報を検索 → 「当時のSlackスレッドも確認」→ Slack検索
5. 対応策をまとめる

[回答]
2024年3月に類似の障害がありました。

【当時の原因】コネクションプールの枯渇
【対応策】
1. maxPoolSizeを50→100に変更
2. connectionTimeoutを30秒→60秒に延長
3. 不要な接続を明示的にcloseする修正

当時のSlackでは「一時的にDBサーバーを再起動して凌いだ」という
コメントもありました。詳細は障害報告書#2024-003を参照してください。

Agentic RAGが特に威力を発揮するのは「複数の情報源を組み合わせる必要がある質問」です。1つのドキュメントを探すだけなら従来のRAGで十分ですが、「調べて、比較して、判断する」が必要な場面ではAgentic RAGの自律的な動きが大きな差を生みます。

Agentic RAGの導入方法

「いきなり全部」じゃなくて「できるところから」進めるのがコツです。

導入の前提条件

Agentic RAGを導入する前に、以下の点を確認しておきましょう。

1. 品質の高いナレッジベースの構築

どんなに優秀なAIエージェントでも、元となるデータの品質が低ければ良い回答は生成できません。まずは検索対象となる文書の整理・クレンジングが重要です。

2. MCP活用時のデータ準備の違い

MCPを使ったAgentic RAGでは、従来のRAGのようにチャンク化やエンベディング化が必ずしも必要ではありません。その代わりに、以下のような工夫が効果的です。

  • 目次やインデックスの整備 – AIが文書構造を理解しやすくなる
  • メタデータの付与 – 作成日、カテゴリ、重要度などの情報を追加
  • トークン節約のための要約 – 長文ドキュメントは要約版も用意

MCPを使った最も簡単な導入方法

MCP(Model Context Protocol)を使えば、Agentic RAGの導入が驚くほど簡単になります。

MCPはAnthropicが提唱するAIとツール連携の標準規格です。従来は「AIクライアントごと」×「連携ツールごと」に個別実装が必要でしたが、MCPにより「N×M」だった連携パターンが「N+M」に削減されます。

MCPについては、以下の記事でも紹介しています。良ければ、是非ご覧ください。
参考記事:うさぎでもわかるMCP – AI時代の新しい接続規格

MCPサーバーの具体例

用途MCPサーバー例
ローカル文書検索mcp-rag-server(pgvector)
Web検索Tavily MCP Server
Notion連携Notion MCP Server
Obsidian連携Obsidian MCP Server

導入時の注意点

Agentic RAGの導入にあたっては、以下の点に注意が必要です。

レイテンシーの増加

複数回の検索・推論を行うため、従来のRAGより応答時間が長くなります。リアルタイム性が求められる用途では、タイムアウト設定や段階的な応答表示を検討しましょう。

コストの増加

APIコール数が増加するため、LLM利用料も増えます。特にGPT-5やClaude 4.5 Opusのような高性能モデルを使う場合は、コスト試算を事前に行うことをおすすめします。

セキュリティ対策

MCPサーバーを通じて社内データにアクセスする場合は、適切なアクセス制御が必須です。誰がどのデータにアクセスできるか、MCPサーバー側で明確に定義しておきましょう。

まとめ

この記事では、Agentic RAGについて解説してきました。

Agentic RAGのポイント

  • 従来のRAGは「1回検索して終わり」、Agentic RAGは「納得いくまで調べ続ける」
  • AIエージェントが「計画→行動→評価→修正」のサイクルを自律的に回す
  • 複数のツール(Web検索、API、データベースなど)を組み合わせて使える
  • MCPを使えば、導入のハードルを大幅に下げられる

向いている用途

  • 複雑な質問への対応(複数文書の比較、過去事例の参照など)
  • カスタマーサポートの高度化

Agentic RAGは「検索するだけのAI」から「考えて行動するAI」への進化です。まずはMCPサーバーを1つ導入するところから始めて、少しずつ活用範囲を広げていくのがおすすめです。

ここまでお読みいただきありがとうございました。Agentic RAGで、あなたの業務がもっと効率的になることを願っています!

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taku_sid

https://x.com/taku_sid
AIエージェントマネジメント事務所「r488it」を創立し、うさぎエージェントをはじめとする新世代のタレントマネジメント事業を展開。AI技術とクリエイティブ表現の新たな可能性を探求しながら、次世代のエンターテインメント産業の構築に取り組んでいます。
ブログでは一つのテーマから多角的な視点を展開し、読者に新しい発見と気づきを提供するアプローチで、テックブログやコンテンツ制作に取り組んでいます。「知りたい」という人間の本能的な衝動を大切にし、技術の進歩を身近で親しみやすいものとして伝えることをミッションとしています。

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