PLUS

生成AIコラム

一覧に戻る

RAG活用事例13選!社内検索・顧客対応など活用場面別に解説

はじめに

「生成AIを業務で活用したいけど、社内の専門情報には対応できない」「最新の社内データを反映した回答が欲しい」そんな企業の課題を解決するのがRAG(検索拡張生成)技術です。

RAGは生成AIに外部データベースの情報を参照させることで、社内独自の情報に基づいた正確な回答を可能にします。すでに多くの企業がRAGを活用して業務効率化を実現していますが、具体的にどのような場面で活用できるのか、どんな効果が期待できるのかを知りたい方も多いでしょう。

そこで、本記事では以下の内容を中心に、RAGの実際の活用事例を詳しく解説します。

  • RAGの基本的な仕組みと4つの主要活用場面
  • 社内情報検索・顧客対応・文書作成・ナレッジ検索の具体的企業事例
  • 各企業の導入背景、解決したソリューション、得られた効果

RAG導入を検討中の方はぜひ参考にしてください。

RAG導入をお考えの企業様へ
ナレフルチャットは、ファイルをアップロードするだけで簡単にRAGシステムを構築できるツールです。プロンプト共有や外部連携など、企業のRAG活用をトータルサポートいたします。RAG導入を検討している方は、こちらをご覧ください。

RAGとは

RAGとは「Retrieval Augmented Generation」の略で、検索拡張生成と呼ばれる技術です。

  • Retrieval(検索)
  • Augmented(拡張)
  • Generation(生成)

上記の3つを組み合わせ、ChatGPTやCopilotなどの生成AIに外部データを活用させる仕組みとなっています。

従来の生成AIは、学習時に取り込んだデータやインターネット上に公開されている情報を元に回答を生成するため、最新情報や社内独自の情報については対応できませんでした。

RAGは、ユーザーからの質問やタスクを受け取ると、まず関連する情報を連携しているデータベースや社内文書から検索します。そして、検索された情報とユーザーのプロンプトを元に回答を生成します。そのため、より具体的かつ自社にマッチしたピンポイントな回答を得ることが出来るのです。

ChatGPTでRAGを導入する方法については、こちらで詳しく解説しているので、ご参照ください。

参考記事:RAGとは?ChatGPTで社内データを活用する方法・注意点を解説

RAGの活用場面

RAGは様々な業務場面で活用されています。ここでは、以下の4つの活用場面について解説していきます。

  • 社内情報の検索
  • 顧客対応の効率化
  • 文書・資料作成
  • 類似事例やナレッジの検索

また、次章以降では、これらの活用場面ごとの具体的な企業導入事例を詳しく紹介していきます。

社内情報の検索

RAGを活用することで、簡単な文章の質問をAIにするだけで、膨大な社内文書を元にした適切な回答を得ることができます。従来は複数のシステムやフォルダを手動で探し回る必要があった情報検索が、チャット形式での質問だけで完結するようになるため、情報アクセスの時間を大幅に短縮できるのです。

活用例
「有給休暇の申請手続きを教えて」 「新しいプロジェクトの予算申請はどこに提出すればいい?」 「品質管理の基準値はいくつ?」
といった質問をすれば、AIが該当する社内規定や手順書を自動で検索した上で、具体的な回答をしてくれる。

顧客対応の効率化

RAGを活用することで、お客様からの質問に対して、過去の対応データを瞬時に検索することで一貫性のある回答を自動生成できます。従来はオペレーターの経験や知識によって対応品質にばらつきがあったものが、新人でもベテランと同等の対応が可能になるため、顧客満足度の向上と業務負荷の軽減を同時に実現できるのです。

活用例
「商品の返品方法を知りたい」 「パスワードを忘れた場合の対処法は?」 「サービス解約の手続きを教えて」
といった問い合わせをされた際に、AIが過去の対応事例やFAQデータベースから最適な回答を自動生成し、オペレーターの業務をサポートしてくれる。

文書・資料作成

RAGを活用することで、過去の類似文書を参考にした質の高い文書を、効率的に作成できます。従来は一から文書を作成したり手動で参考資料を探していた作業が、関連情報を自動で提示してくれるようになるため、作成時間の短縮と内容の品質向上を両立できます。

活用例
「新商品の販売企画書を作成したい」 「設備投資の稟議書のひな形はある?」 「研修マニュアルを更新したい」
といった要求に対し、AIが過去の類似文書や関連資料を参照して、文書の構成案や必要な記載項目を提案してくれる。

類似事例やナレッジの検索

RAGを活用することで、過去のプロジェクトや解決事例から、今の状況に役立つ知見を素早く見つけることができます。従来は個人の記憶や手作業でのファイル検索に頼っていたナレッジ活用が、組織全体の知見を体系的に検索できるようになり、問題解決のスピードアップと業務品質の向上につながります。

活用例
「システム障害が発生した時の対応手順は?」 「類似のプロジェクトで発生した課題と解決策を教えて」 「過去の営業戦略で成功した事例はある?」
といった質問をすると、AIが蓄積された知識やノウハウから関連する事例や解決策を見つけて提示してくれる。

社内情報の検索にRAGを活用した事例

社内情報の検索は、RAG活用で最も効果を実感しやすい場面です。企業規模が大きくなるほど社内文書は増加するため、必要な情報を見つけるだけで多くの時間を要している企業も少なくありません。ここでは、社内情報にアクセスできる仕組みを構築し、情報検索の効率を改善した事例を紹介します。

JR東日本

項目内容
課題・背景グループ経営ビジョン「変革2027」の実現に向けたDX推進において、社員に幅広い知識の迅速な活用が求められる。
RAGで得たソリューション社内文書に基づいて自社業務に関する回答ができる生成AIチャットのプロトタイプを開発。

JR東日本では、グループ経営ビジョン「変革2027」の実現を目指してDXを推進しています。

そこで同社は、RAG技術を採用し、社内文書に基づいて自社業務に関する回答ができる生成AIチャットのプロトタイプを開発しました。2023年11月から一部部署で試用を開始し、2024年10月から全社員を対象とした試験運用を開始しています。

社内規定やルールなどの文書の効率的な検索など、業務の効率化に生かすよう活用を進めているとのことです。

参照:「生成 AI チャットの全社員展開及び生成 AI の内製開発について」JR東日本ニュース

AGC

項目内容
課題・背景中期経営計画 AGC plus-2026 の主要戦略の一つとして掲げている「価値創造DXの推進」のために、より便利に生成AIを活用できる業務環境の実現が必要。
RAGで得たソリューションRAG技術を導入し、社内データを社内向け生成AI活用環境「ChatAGC」に連携することで情報利活用を可能に。

株式会社AGCでは、2023年6月に社内向け生成AI活用環境「ChatAGC」の運用を開始し、働き方改革を推進してきました。2024年8月からは、RAG技術を導入し、社内データを「ChatAGC」に連携することで機能を大幅に拡張しました。

この連携により、従業員はあらかじめ付与された権限の範囲において、社内データに基づいた回答を「ChatAGC」から得られ、より効率的に情報を利活用することが可能となっています。

特に期待される活用例として、属人化された過去の開発・設計などの技術情報を含めた回答結果を参照できることや、営業情報から顧客ニーズを把握し、製品開発のアイディアを得ることができることが挙げられています。

参照:「自社向け生成AI活用環境『ChatAGC』に、社内データ連携機能を付与」株式会社AGC

朝日生命

項目内容
課題・背景ベテラン社員の定年退職による内勤職員数減少に備えたナレッジマネジメントの効率化が急務。
RAGで得たソリューション3,500超の社内文書を検索し、生成AIが適切な回答を提示するシステムを導入。

朝日生命保険相互会社では、営業現場から本社への問い合わせに自動で回答する仕組みとして、FAQシステムを運用していましたが、さらなる業務効率化を目的として生成AIとRAG技術を活用した新しいシステムを導入しました。

近年の少子高齢化や生産年齢人口の減少に伴い、同社でも数年後には多くのベテラン社員が減ることが見込まれているため、生成AIの本格的な活用に取り組むことを決定しました。

現時点で、朝日生命における業務遂行に必要なマニュアル類や事務手続要領書といった社内ドキュメントの数は3,500を超えており、これらの社内ドキュメントを調べる作業を生成AIに代替させることで全社的に情報検索業務を削減し、生産性向上を実現することが期待されています。

参照:「朝日生命が『PKSHA AI ヘルプデスク』を導入、生成AIによる社内文書検索・回答生成を検証開始」株式会社PKSHA Technology

ナレフルチャットなら社内ナレッジ共有によるRAGの効率的な活用が可能

RAGシステムを導入した企業で重要なのが、社内でのナレッジ活用です。RAGを活用したシステムを導入しても、適切な質問を投げかけなければ、意図した回答を引き出すことができません。

ナレフルチャットのプロンプトタイムライン機能(特許取得済み)では、チームメンバーが作成したプロンプトを組織内で共有・評価できます。

高評価プロンプトがタイムラインに投稿されるため、組織全体でナレッジが蓄積され、個人のスキルに依存することなく組織全体でRAGの活用レベルを底上げすることが可能です。

ナレフルチャットの「RAG機能」については、こちらでも詳しく紹介していますので、ぜひご参照ください。

顧客対応の効率化にRAGを活用した事例

RAGを活用することで、お客様からの多様な問い合わせに対して、過去のFAQや対応履歴を瞬時に検索し、適切な回答を提供することができます。ここでは、人的リソースの制約を解決しながら、顧客満足度の向上も実現した事例を紹介します。

三井住友カード

項目内容
課題・背景月間約50万件を超えるお問い合わせに対する対応品質と対応可能件数の向上が急務。
RAGで得たソリューションRAG技術を活用し、社内データを検索して回答草案を自動生成するシステムを導入。
効果顧客からのお問い合わせ対応にかかる時間が最大60%程度短縮される見込み。

三井住友カードでは、コンタクトセンターに月間約50万件を超えるお問い合わせが寄せられており、対応品質と対応可能件数の向上が急務となっていました。キャッシュレス決済の普及拡大が続く中、2023年度の新規申込みが500万件を超えるという状況だったのです。

同社はRAG技術を活用して、社内データを検索し、回答の草案を自動で生成するシステムを導入しました。2024年6月末よりコンタクトセンターのメール回答業務で利用を開始し、最終的には顧客からの問い合わせ対応にかかる時間が、最大で60%程度短縮される見込みです。

参照:「三井住友カードとELYZA、お客さまサポートにおける生成AIの本番利用を開始」三井住友カード株式会社

セゾンテクノロジー

項目内容
課題・背景数万ページのマニュアルから情報検索する若手エンジニアのスキル育成と心理的負担軽減が必要。
SQLの操作ができるエンジニアしか活用できていない。
RAGで得たソリューションRAGを活用し、エンジニアの質問に対して自動的に関連情報を抽出し回答できる仕組みを構築。
効果サポートエンジニアの回答作成時間が最大30%短縮、テクニカルサポートセンター全体で約10%の業務効率化
1,000件の質問に対し30ドル以下のコストで回答されているため、大幅なコストカットが実現。

株式会社セゾンテクノロジーでは、サポートエンジニアが顧客や社員からの問い合わせに対し、数万ページにも渡るマニュアルやFAQ、膨大な過去の問い合わせ履歴から必要な情報を検索して回答を作成する必要があり、若手エンジニアのスキル育成や心理的負担軽減が課題となっていました。

また、社内のDWH(データウェアハウス)内における「全社統合データ基盤」は、SQLの操作ができるエンジニアしか触れず、非エンジニア社員では見ることも活用することもできませんでした。

同社はAmazon Bedrockを活用したRAGの仕組みを構築し、問い合わせ内容から自動的に関連情報を抽出して回答案を生成できるようにしました

自然言語で質問するだけでデータ基盤にある必要な情報を抽出し、利用できる環境を整えた結果、サポートエンジニアの回答作成時間は最大で30%短縮され、テクニカルサポートセンター全体で約10%の業務効率化を実現し、1,000件の質問に対し30ドル以下のコストで回答できるようになりました。

参照:「セゾンテクノロジー様のAWS生成AI事例:Amazon Bedrockを活用してサポートエンジニアの回答作成時間を最大30%短縮」Amazon Web Service

東京メトロ

項目内容
課題・背景年間約25万件のお問い合わせに対し、多様化する質問への対応と迅速な回答提供が課題。
RAGで得たソリューションRAG技術を活用し、チャットボットの回答範囲を拡大。

東京メトロでは、お客様センターで年間約25万件のお問い合わせに対応しています。従来のチャットボットはあらかじめ想定されたFAQに基づく回答でしたが、多様化するお客様の質問に対応しきれない課題がありました。

同社はRAGを活用し、従来のFAQ検索では対応できない質問に対しても、**東京メトログループの公式WEBサイトからAIが適切な情報を検索し、回答を自動生成できるようになりました。**2024年11月28日より、お客様向けチャットボットとお客様センター業務双方への生成AIの本格的な活用を開始し、鉄道会社として初めての取り組みとなりました。

参照:「生成AIを活用した鉄道・コールセンターの専用システム構築について」東京地下鉄株式会社

近畿大学

項目内容
課題・背景従来のチャットボットでは教職員があらかじめ質問と回答を用意する必要があり、運用負荷が高い。
RAGで得たソリューション生成AI連携の「SELFBOT」を導入し、ドキュメントやURLから自動学習させることが可能に。

近畿大学では、令和4年から学生の問い合わせ対応にAIチャットボットを導入し、70,000件以上の問い合わせに対応してきました。しかし、従来のシステムでは教職員があらかじめ想定質問と回答を用意する必要があり、運用負荷が課題でした。

新たに導入された「SELFBOT」は、RAGを活用することで、ドキュメントやURLだけでなく画像からも自動学習を行う機能を備えており、社内対応はもちろん高精度な顧客対応も実現しました。

参照:「生成AI連携の『SELFBOT』導入で、近畿大学のAIチャットボットが進化!」PR TIMES

ナレフルチャットならRAGシステムの外部共有が可能

社外の顧客に対して、社内データベースに基づいた正確な情報提供・顧客対応を行うためには、RAGで構築したシステムを外部の方とも共有できることが重要です。

ナレフルチャットでは、特定のデータを与えることで様々な役割のAIを複雑な操作ナシで作成できます。ここまでは、通常のRAGを活用したシステム同様ですが、これに加えて独自機能「RAGリンク」では、ボットごとに専用チャットページのURLを発行できます

そして、「リンクを送るだけ」で、作成したボットを全社・チームに向けて共有可能。URLとアクセスコードを発行するだけで、外部の方にもチャットボットの共有が可能になるのです。

これにより、顧客が自分で社内固有の情報について調べることができるようになり、問い合わせ件数の削減や顧客満足度の向上などを実現できます。

詳しくはこちらをご参照ください。

文書・資料作成にRAGを活用した事例

文書・資料作成におけるRAG活用は、効率的に高品質な文書を作成できる点が大きなメリットです。稟議書や提案書など、一定のフォーマットや根拠が求められる文書において、作成時間の大幅短縮と品質向上を同時に実現した事例を紹介します。

ふくおかFG

項目内容
課題・背景融資案件の決裁を受ける際の稟議書作成に時間を要していた。
RAGで得たソリューションCRMやExcelシートのデータから、生成AIへのプロンプトを自動作成する融資稟議書作成支援システムを開発。
効果作成時間を35%短縮し、手作業よりも品質や網羅性が高い文書を作成できるように。

ふくおかフィナンシャルグループ(FFG)では、融資案件の決裁を受ける際に、資金使途などをまとめて融資業務の担当者に提出する稟議書の作成が課題となっていました。

同社は日本IBMの協力を得て、CRMやExcelシートなどから、融資先の運転資金算定表や営業日報のデータを取得し、生成AIへのプロンプトを自動作成するシステムを開発しました。

PoC(概念実証)では、行員の手による文書よりも、AIの生成文書を行員が修正した文書の方が品質や網羅性が高いとの結果が出て、作成時間も35%短縮できました。2024年5月から一部店舗で本番導入を開始しています。

参照:「ふくおかFGが融資業務向け生成AIで3割超の時間削減、独自LLM構想も」日経クロステック

宮崎銀行

項目内容
課題・背景行員が手作業で行う融資稟議書作成に時間を要していた。
RAGで得たソリューションMicrosoft Azure OpenAI Serviceを活用した融資稟議書作成アプリケーションを開発。
効果融資稟議書作成にかかる作業時間を95%削減。

宮崎銀行では、融資業務において営業店の行員が融資案件の行内決裁を受ける際の「融資稟議書作成業務」に時間を要していました。

同社は日本IBMと共同で、Microsoft Azure OpenAI Serviceを活用した融資稟議書作成アプリケーションを開発しました。これにより、これまで行員が手作業で行っていた融資稟議書作成にかかる作業時間を95%削減することに成功し、2024年4月から一部店舗で運用を開始しています。

参照:「融資稟議書の作成時間を95%削減。日本IBM、宮崎銀行の融資業務における生成AIの活用を開始」AI SMILEY

LINEヤフー

項目内容
課題・背景膨大な社内文書から効率的に情報を検索し、確認・問い合わせ時間を削減する必要あり。
RAGで得たソリューションRAG技術を活用した独自業務効率化ツール「SeekAI」を開発し、部門ごとに最適化された回答を得られるように。
効果広告事業のカスタマーサポート業務で約98%の正答率を達成。
年間70~80万時間の削減を目指す。

LINEヤフーでは、RAG技術を活用した独自業務効率化ツール「SeekAI」を全従業員に本格導入しました。これは社内ワークスペースツールや社内データを参照元とし、従業員が入力した質問に対する回答を端的に表示するシステムです。

活用範囲は多岐にわたり、自部門の業務内容を把握して新入社員向けトレーニング資料やマニュアルを作成したり、会議の議事録から発言や決定事項を把握したり、顧客・取引先の最新情報やコミュニケーション履歴を確認するなど、幅広い業務で効率化を実現しています。

参照:「LINEヤフー、RAG技術を活用した独自業務効率化ツール『SeekAI』を全従業員に本格導入」LINEヤフー

ナレフルチャットならプロンプト生成サポートとAIモデルの使い分けが可能

文書・資料作成においてRAGを最大限活用するためには、適切なプロンプトの作成が重要です。ナレフルチャットのプロンプト生成サポート機能では、利用者の意図をAIが理解し、最適なプロンプトを自動生成・改善してくれるため、より効率的に高品質な文書作成が可能になります。

また、文書作成の分野では文章力や表現力が重要となるため、用途に応じたモデルの使い分けも効果的です。ナレフルチャットでは、ChatGPTやGeminiはもちろん、Claude 4などの文章力に定評があるモデルを使用することができるため、より洗練された表現や構成の文書を作成できます。

詳しくはこちらをご参照ください。

類似事例やナレッジ活用にRAGを活用した事例

RAGを活用することで、膨大な過去データから類似事例やナレッジを瞬時に検索し、現在の課題解決に活かすことができます。ここでは、安全管理、技術サポート、人材育成など様々な分野で類似事例やナレッジの活用を効率化した事例を紹介します。

東洋建設

項目内容
課題・背景社内災害防止基準や過去事例の参照が困難で、文字情報のみでは検索性や情報伝達に課題。
RAGで得たソリューションChatGPT-oにRAGを適用し、社内安全データや厚生労働省データなどを参照できる検索システムを構築。
効果検索性・視認性及び協力会社への理解度の向上。

東洋建設では、厚生労働省の労働災害データを格納した危険予知ツール「K-SAFE」を従来では使用していましたが、自社独自の「東洋建設災害防止基準」や「社内災害事例」を参照するには社内ポータルサイトを別途検索する必要がありました。また、文字情報のみでは検索時に欲しい情報を見つけづらく、職長に齟齬なく伝えることが難しい課題がありました。

同社は株式会社UNAIITと共同で「K-SAFE東洋 RAG適用 Version」を開発しました。ChatGPT-4o搭載の「東洋安全ChatGPT」にRAGを適用し、「東洋建設災害防止基準」等の安全データを参照させることで、LLMがイラスト付きで社内基準をもとに回答できるようになりました。過去の社内災害事例を画像で確認できるため、視覚的にも確認でき、齟齬のない情報共有や理解度が向上しています。

参照:「【東洋建設】労働災害事例検索システム『K-SAFE 東洋 RAG適用 Version』を導入」東洋建設株式会社

出光興産

項目内容
課題・背景競合製品分析や製品不具合対応において、関連情報の収集・分析に時間を要していた。
RAGで得たソリューションRAGを活用し、自社固有のナレッジを活かしたAIアプリケーションを開発。
効果膨大なデータを活用し、短時間で高精度な結果を得ることに成功。市場機会の発見や、知財関連業務の効率化など創造力が問われる領域でも成果を上げ始めている。

出光興産では、先進マテリアル部門において生成AI/RAGシステムの利用を開始しました。同社では社内で生成AIのワーキンググループを設置し、社内外のデータを生成AIのナレッジベースにするRAGに着目し、現業部門のデータを活用するシステムの開発を行いました。

取り組みの一つとして、2つの業務に生成AIを導入しました。1つは競合製品の分析レポート作成の際、インターネットや特許データベースで競合製品の情報を収集・分析し、開発予定の新素材が優位性を備えているか報告するもの。もう1つは技術サポートで、製品の不具合に関する問い合わせを受けた際に顧客管理システムやクラウドストレージを検索し、類似する問い合わせや原因調査を洗い出すものです。

いずれも実務で要求される精度を実現しており、短時間で結果を得ています。

参照:「ウルシステムズ、出光興産の生成AI活用を支援」ウルシステムズ株式会社

ゆめみ

項目内容
課題・背景変化し続ける組織で情報が増加し、新入社員が必要な情報にたどり着きにくい状況があった。
RAGで得たソリューションRAGを活用した独自の生成AI環境を構築し、膨大な社内情報から必要情報に迅速アクセスできるように。
効果新入社員のセルフオンボーディングの効率化とスムーズな組織適応を実現。

株式会社ゆめみでは、アジャイル組織・ティール組織を採用し、全員CEO、有給取り放題、給与自己決定などのユニークな制度を導入してきました。これらの組織形態や制度は常にアップデートされ続けており、知識や経験の浅い新入社員でもいち早く組織に馴染めるようにセルフオンボーディングの仕組みを整備してきました。

オンボーディングに必要な社内情報は「ゆめみオープンハンドブック」をはじめ徹底的にドキュメント化されており、新入社員が自身のペースでオンボーディングを進められるようセルフオンボーディングプログラムを提供しています。

しかし、変化し続ける組織の中では様々な情報が増え続け、常に更新され続けているため、新入社員が必要な情報にたどり着きにくかったり、メンターやバディもすべての情報を把握し切れていなかったりするなどの課題がありました。

**同社はこうした課題を解決するため、RAGを活用した独自の生成AI環境を構築しました。**これにより、新入社員は膨大な社内情報から必要な情報に迅速にアクセスでき、セルフオンボーディングをスムーズに進めることができるようになりました。

参照:「新入社員のオンボーディング支援にRAGを活用した生成AIを導入」株式会社ゆめみ

ナレフルチャットなら外部ストレージとの連携が可能

類似事例やナレッジの活用において重要なのは、情報の鮮度を保つことです。

ナレフルチャットでは外部ストレージ連携機能により、SharePoint、Google Drive、Box上のファイルをそのままRAGに読み込ませることができ、毎日自動で最新の内容を取得する仕組みが構築できます。

これにより、クラウドストレージ上の類似事例データを更新するだけで、RAGも自動的にアップデートされていきます。

詳しくはこちらをご参照ください。

ナレフルチャットのご紹介

これまで紹介した様々なRAG活用事例を見て、自社でもRAGを導入したいと考えられた方も多いのではないでしょうか。しかし、RAGシステムの構築には技術的な専門知識や多くの時間・コストが必要になることが課題となります。

ナレフルチャットは、そうした課題を解決する企業向けツールです。ファイルをそのままアップロードするだけでRAGシステムを構築でき、用途に合わせたボットを簡単に作成できます。

また、独自機能「RAGリンク」により、専用チャットページのURLを発行して外部の方ともチャットボットを簡単に共有することができるのも、大きな特徴です。

実際に、ナレフルチャットを活用することで、プレゼン資料作成時間が約10日から2時間に短縮した事例や、調査やメール作成の時間を約50%短縮し、生産性が約2倍に向上した事例もございます。

RAGの活用を検討されている方は、ぜひナレフルチャットを選択肢の一つとしてご検討ください。

アバター画像

ナレフルチャット運営チーム

法人向けクローズド生成AIチャットサービス「ナレフルチャット」の企画・開発・運用を手がけています。
プロンプト自動生成・改善機能や組織内でのノウハウ共有機能など、独自技術の開発により企業の生成AI活用を支援しています。

「AIって難しそう...」という心の壁を、「AIって面白そう!」という驚きで乗り越えていただけるように
日々刻々と変化する生成AI業界の最新動向を追い続け、魅力的な記事をお届けしていきます。

Page Top