Use Case
導入事例
バックオフィスの負担を減らし、接客に時間を生む|老舗百貨店 天満屋の生成AI活用

株式会社天満屋
積極利用者 約120名 | 議事録作成が約半分に | 業績分析や資料作成の効率化
・従業員が個別にAIを使っている状況で、実態把握ができずセキュリティ面も不安だった。
・利用者数無制限で全社展開しやすく、国内リージョン運用などセキュリティ要件も満たしていた。
・現場・バックオフィスともに活用が広がり、議事録、分析、文案作成、エージェント機能などで効率化が進んだ。
・バックオフィス負担の軽減に加え、社内知識を形式知化した天満屋独自のAI活用を目指す。
【導入事例】株式会社 天満屋
株式会社天満屋は、1829年創業、岡山・広島・鳥取の3県で百貨店を展開する老舗企業です。約20社のグループ企業とともに、地域社会への貢献を目指した事業を展開しています。
2026年3月にナレフルチャットを導入し、業績分析や文書作成、情報収集、議事録生成、フォローレターの文面チェックなど、現場・バックオフィス双方で生成AIの活用を進めています。
今回は、情報システム部門 部長の重本さま、人事教育部門でデジタルコンテンツ制作を担当する佐藤さま・仙頭さまに、ナレフルチャット導入の背景や選定理由、具体的な活用方法、導入後の効果、今後の展望についてお話を伺いました。
■導入企業と生成AIの利用状況
── はじめに株式会社天満屋の事業内容について簡単に教えてください。また、担当業務についても教えてください
重本さま:
弊社は岡山に本店を置き、広島県、鳥取県の3県で百貨店を展開しています。
また、約20社のグループ企業とともに、地域社会への貢献を目指してさまざまな事業を行っています。私は情報システム部門で部長としてシステム全般の管理・監修を担当しています。
佐藤さま:
私は、人事教育部門で、社内研修向けのeラーニング動画など、社内コンテンツの企画・制作を担当しています。現在は、ナレフルチャットの基本的な使い方や業務での活用例を紹介する動画制作に加え、現場業務に即した生成AI活用の支援にも取り組んでいます。
仙頭さま:
同じく人事教育部門で、社内向けのデジタルコンテンツ制作を担当しています。
生成AIに関しては、議事録生成など具体的な活用方法を分かりやすく伝える教材づくりを通じて、従業員への浸透・定着を支援しています。
── ナレフルチャット導入前、生成AIの業務活用は行っていましたか?また、その際の課題やお悩みを教えてください
重本さま:
生成AIを活用した業務改善やお客様体験の向上については、以前からDX推進として経営層から話が出ていました。特に今年は「生成AI元年」として、社長からも「業務に生成AIを取り入れ、さまざまなことにチャレンジしてほしい」という号令がありました。
一方で、昨年頃からChatGPTやGeminiなどを従業員が個別に使っている様子はありました。提出される資料の内容や、従業員がスマートフォンで利用している様子から、何らかの形で生成AIを使っていることは感じていましたが、実態までは把握できていませんでした。
そのまま利用が広がっていくと、やはり一番の懸念はセキュリティでした。
入力した情報が学習に使われるのかどうかなど、生成AIの仕組みを正しく理解している従業員ばかりではありません。業務に関する情報を扱う以上、会社として安全な利用環境を整備し、従業員にはその環境下でツールを使ってもらう必要があると考えました。
そのため、「どのように安全な生成AI活用環境を整えるか」が、導入前の最初の大きな悩みでした。
■ナレフルチャット導入の背景

── ナレフルチャットを知ったきっかけと、数ある生成AIツールの中からナレフルチャットを選んだ理由や決め手を教えてください。
重本さま:
生成AIツールについては本当にいろいろと調べました。その中でナレフルチャットを知り、最終的な決め手になったのは、利用者数を無制限に設定できる点でした。
弊社には約1,200名の従業員がいますが、全員にCopilotのIDやChatGPTのアカウントを配布するのは現実的ではありませんでした。一般的な汎用対話型の生成AIサービスでは、利用人数が100名単位になるケースも多く、全社でAIを活用していくという方針には合いづらい部分がありました。
その点、ナレフルチャットは利用者数を無制限に設定でき、トークン数で利用量を管理するモデルです。たくさん使う人もいれば、そうでない人もいる中で、まず全社的にAI活用をスタートするには、この仕組みが最も合っていると感じました。
また、業績データなどを使って分析したいというニーズもあるため、セキュリティ面も重要な判断基準でした。クラウドサービスでありながら国内リージョンで運用されている点など、弊社が求めるセキュリティ要件を満たしていたことも大きかったです。
──ナレフルチャットを社員全員に提供していますか?また、社内でのナレフルチャットの利用者数を教えてください
重本さま:
現在、250名が登録しています。百貨店・流通業という業態上、全従業員にメールアドレスを付与していたり、パソコンを持たせていたりするわけではありません。そのため、まずはパソコンやメールアドレスを持っている係長以上の社員を対象に、全員登録を必須としてアカウントを付与しました。
係長未満のメンバーについては、事前に定めたガイドラインを確認してもらい、それを守れるかどうかの承認を得たうえで、申請があれば登録できる形にしています。
登録者数250名のうち、120名前後が業務で積極的に活用してくれています。
──従業員への浸透に向けて、工夫されたことはありますか?
重本さま:
係長以上の社員については全員登録を必須として、実際に使ってもらう環境を整えました。あわせて、社内報でも「生成AIを活用してみましょう」といった発信を行い、社内での認知を広げています。
佐藤さま:
社内向けにオリジナルのeラーニング動画を制作し、ナレフルチャットの使い方を分かりやすく伝えるようにしています。たとえば、実際の画面を見せながら「どこを操作するのか」「自分たちの業務ではどのような内容を入力すればよいのか」といった点を、利用者に合わせた形で解説しています。まずは基本的な操作方法や、クレジットの仕組みの説明から始めています。
今後は、役立つチャットの活用例など、より具体的な業務別の事例紹介も制作していく予定です。
──ナレフルチャットの具体的な活用方法を教えてください。また、従業員の間で特に人気の使い方やプロンプトがあれば教えてください
重本さま:
活用方法は、現場とバックオフィスで少し異なります。現場では、メール文の作成や情報収集のほか、お客様対応で込み入った話をする際の事前相談などに使われています。
バックオフィスでは、販促部門でのプレスリリース作成や画像生成、総務部門での契約書確認などに活用されています。
また、HTMLを生成して簡単なWebアプリのようなものを作る社員もいます。中には、エンジニアではない店舗販売スタッフが、在庫管理システムを作ろうとしている例もありました。利用ログを見ながら、積極的に活用をしている社員には個別に話を聞くこともあります。
佐藤さま:
現在、エージェント機能の活用も進めています。すでに社内リリースしているものとして、フォローレターの文面チェックを行うエージェントがあります。
当社では、お客様のご来店やご購入後に、会話内容やお買い物の内容をもとに手書きのハガキをお送りする文化があります。その文面について、改行位置や漢字表記、言葉遣いなどが社内ルールに沿っているかをチェックできるようにしました。
これまでは上長が一つひとつ目視で確認していましたが、エージェントを使うことで、一定の基準で確認できるようになり、チェック時間の短縮にもつながっています。
■ナレフルチャット導入後の効果
──ナレフルチャットの導入効果を教えてください
重本さま:
数字を扱う業務では、業績分析の効率化を実感しています。売上や利益の分析、報告資料の作成にはこれまで時間がかかっていましたが、ナレフルチャットの導入によって分析がしやすくなったという声があります。
人員が限られる中で、業務を効率化できた分、売り場での対応やこれまで手が回らなかった業務に時間を充てられるようになってきました。一人ひとりの仕事の密度が高まっている点は、大きな効果だと感じています。
仙頭さま:
議事録生成に関するeラーニング動画を公開した際、視聴者から「これまでAIを使わずに録音を聞きながら文字起こしして整理していた作業が、半分ほどの時間でできるようになった」という声もいただきました。
佐藤さま:
eラーニング動画の企画や台本作成でも、ナレフルチャットを壁打ち相手として活用しています。「どういう流れにすれば分かりやすいか」といった構成づくりの段階から使うことで、制作時間の短縮につながっています。
教育部門では毎月の経費計算など、定期的な事務処理にもAIの活用が始まっています。単純作業については、使いこなしているメンバーから徐々に時間短縮の効果が出ていると感じています。
──ナレフルチャット導入を通じて、従業員の生成AIに対する意識や使い方に変化を感じていますか?
重本さま:
最初は簡単なチャットをする程度でしたが、現在では「在庫管理システムを作ってやろう」といったように、やりたいことを実現するためにAIに相談して可能性を探るような使い方が広がっています。自身の知識不足やコストの問題が邪魔をしてできなかったことをブレイクスルーする存在だと、従業員が気づき始めています。システム部署としても、従業員が自ら工夫して生み出したアイデアをもとに、新しいシステムを検討できるなど、良い方向に向かっていると感じます。
■今後の展望
──貴社のビジョンの中で、生成AIを活用して実現したいことはありますか?
重本さま:
一番は、バックオフィス業務の負担軽減です。AIに任せられる反復的な業務はAIに任せ、その分の時間を販売活動やお客様との関係づくり、新規事業の検討に充てていきたいと考えています。
将来的には、天満屋独自のAIを作っていきたいという構想もあります。社内に蓄積された情報や、ベテラン社員が持つ接客・外商のノウハウなど、これまで個人に依存していた暗黙知をAIで形式知化し、会社の資産として残していきたいです。
生成AIは、そうした知識の継承を進めるうえでも大きな可能性があると感じています。
──最後に、生成AIを活用する重要性について感じていることや、生成AI導入を検討している企業へ向けて、アドバイスやメッセージがあればお願いします
重本さま:
生成AIには不確かな要素もありますし、ハルシネーションのリスクもあります。
だからこそ、正しい情報かどうかを最終的に判断するのは人間である、という意識が大切だと思います。一方で、生成AIと上手に付き合う方法を考えていかないと、企業として今後の成長は難しくなるとも感じています。リスクを理解したうえで、業務の中にどう取り入れていくかを考えることが重要だと思います。
仙頭さま:
生成AIの活用は、時代の流れとして進めていくべきものだと思います。ただ、得意な人だけが使える状態ではなく、DXやパソコン操作に苦手意識がある人も含めて、どう一緒に巻き込んでいくかが大切です。全員が置いていかれず、新しい時代に向かっていけるようにすることが、導入や定着のうえで重要だと感じています。
佐藤さま:
生成AIを、企業がこれまで大切にしてきた形や強みとうまく融合させることが大切だと思います。すべてを新しく変えるのではなく、既存の良さを活かしながらAIを取り入れていくことが理想です。
また、実際に使うのは人なので、従業員の気持ちや不安にも配慮する必要があります。
気持ちよく使える環境を整えることが、生成AIの導入や定着につながると考えています。





