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生成AIコラム
うさぎでもわかる!2025年11月生成AIニュース9選

はじめに
2025年11月は、生成AI業界にとって「AIツールの実用化」と「ヒューマノイドロボットの台頭」が同時に起きた激動の月でした。
3D生成AI、音声AIマーケットプレイス、そして中国発のリアルすぎるロボットが世界を驚かせるなど、業界の地殻変動を感じさせるニュースが相次ぎました。主要3社(OpenAI、Google、Anthropic)も揃って新モデルをリリースし、AI開発競争はさらに加速しています。
この記事では、うさぎが厳選した2025年11月の重要AIニュース9選をお届けします。業界全体の動向を追えるよう、プロダクト・ロボット・モデルの3つの視点から振り返っていきますうさよ🐰
【プロダクト・ツール編】
1. World Labs「Marble」リリース
AIの”ゴッドマザー”が仕掛ける3D生成革命
スタンフォード大学教授でImageNetの生みの親として知られるフェイフェイ・リー氏が率いるWorld Labsが、初の商用プロダクト「Marble」を発表しました。
同社は「空間的知性(Spatial Intelligence)」を研究テーマに掲げており、AIが2D画像から3D世界を理解・生成できる技術の開発を進めています。
Marbleの特徴は以下の通りです。

- 1枚の画像から3D環境を生成 – 写真やイラストをアップロードするだけで、探索可能な3D空間が作られる
- WebXRでVR体験可能 – Quest 3やApple Vision ProのブラウザからそのままVR体験できる
- 月額20ドルで高度な機能 – 動画からの生成、3Dレイアウト制御のためのモードを利用可能になる
「画像から3D空間を作る」という体験はまさに次世代感がありますね。ゲーム開発や建築、VRコンテンツ制作の民主化につながる可能性を感じます。
🔗 公式 – World Labs Blog
2. Meta「SAM 3」リリース
“何でも切り抜く”AIが第3世代へ進化
Metaが「Segment Anything Model(SAM)」の第3世代をリリースしました。SAMとは、画像内のあらゆるオブジェクトを自動で認識・切り抜きできるAIモデルのことです。

SAM 3の最大の進化点は、SAM 2ではサードパーティで対応済みだった「テキストプロンプト対応」が公式対応したことです。従来のSAMはクリックやボックス描画でオブジェクトを指定する必要がありましたが、SAM 3では「黄色いスクールバス」「赤い帽子をかぶっていない座っている人」といった自然言語で指定できるようになりました。
SAM 3の主な進化ポイントは以下の通りです。
- 視覚的インテリジェンスの強化 – オブジェクト検出の精度が大幅に向上
- Instagram Editsに展開予定 – Instagramの動画作成アプリで、特定の人物やオブジェクトにエフェクトを適用する機能として活用予定
- SAM 3D(別モデル)も同時発表 – 1枚の画像から3Dモデルを再構築。AR/VR研究やゲームアセット制作向け
また、同時に発表された「SAM 3D」も注目です。SAM 3D ObjectsとSAM 3D Bodyの2モデルで構成され、1枚の静止画像からオブジェクトや人体の3Dモデルを生成できます。
うさぎ的には、AR/VRやゲーム開発での3Dアセット制作が大幅に効率化されそうですね。研究者やクリエイター向けにオープンソースで公開されているのも嬉しいポイントです🐰
🔗 公式 – Meta AI Blog(SAM 3) / Meta AI Blog(SAM 3D)
参考 – CNET
3. ElevenLabs「Iconic Voice Marketplace」ローンチ
故人の声も蘇る – セレブAI音声の正規マーケットプレイス
AI音声生成スタートアップのElevenLabsが、セレブリティのAI音声をライセンス提供するマーケットプレイス「Iconic Voice Marketplace」をローンチしました。
同社初の「ElevenLabs Summit」で発表されたこのサービスは、25以上の著名人の声を収録。ブランドや制作者は権利者(本人または遺産管理団体)と直接交渉してAI音声を利用でき、ElevenReaderアプリでのナレーション利用も可能です。
参加が発表されたのは以下の著名人たちです。
存命の有名人
- マイケル・ケイン(92歳、俳優)
故人
- マヤ・アンジェロウ(詩人・公民権活動家)
- アラン・チューリング(数学者・コンピュータ科学の父)
マイケル・ケインは「これは人間性を置き換えるのではなく、称えるためにイノベーションを使うこと」とコメントしています。
うさぎの所感として、AI音声の「正規ルート」ができたことは業界にとって大きな一歩です。無断で有名人の声を模倣する問題が深刻化する中、権利者と直接交渉できる仕組みは歓迎すべきですね。ただし、故人の声を「蘇らせる」ことへの倫理的議論は今後も続きそうです。
【ヒューマノイドロボット編】
4. XPeng「Iron」- 人間と見分けがつかないロボットが登場
観客が「中に人がいる」と疑い、ステージ上で切り開いて証明する事態に
11月5日、中国のEVメーカーXPengが発表したロボット「Iron」が世界中で話題になりました。
何がすごいかというと、動きが人間すぎて「着ぐるみでは?」と疑われたこと。ファッションモデルのようにランウェイを歩く姿があまりにも自然で、CEOがステージ上でロボットの外皮を切り開き、中身が機械であることを証明する異例の展開となりました。
Ironの想定用途(CEOコメントより)
- カスタマーサービス – 店舗や施設での接客・案内業務
- 職場アシスタント – オフィスでの補助作業や受付対応
- 工場での作業 – 製造ラインでの反復作業
なお、CEO何小鵬氏は「家庭は散らかっていて予測不可能。安全面のリスクが高い」として、家庭用ロボットとしての展開は当面見送ると明言しています。まずはビジネス環境で実績を積む戦略のようです。
🔗 公式 – XPENG AI Day 2025 発表
5. 1X「NEO」- 家事をしてくれるロボットが約300万円で予約開始
「洗濯物たたんで」「食器洗って」が現実に
OpenAIが出資する1X Technologiesが、家庭用ロボット「NEO」の予約を開始しました。価格は約2万ドル(約300万円)、2026年に届く予定です。
これまでのロボットは工場や倉庫向けがほとんどでしたが、NEOは「家で使う」ことを前提に設計された初の本格的ヒューマノイドです。
NEOでできるようになること
- 洗濯物をたたむ – 散らかった服を拾い、きれいにたたんでくれる
- 食器洗い・片付け – キッチンの後片付けをお任せ
- 話しかけて指示 – 「あれやって」と人に頼むように指示できる
- 新しいことを覚える – できないタスクは人間のオペレーターが遠隔で教えてくれる
正直、2万ドルで買っても最初は「中の人」が遠隔操作している部分もあるそうです。でも、その操作データでAIが学習し、どんどん自律的になっていく仕組み。「家事ロボット」という夢が、ついに手の届くところまで来ましたね🐰
🔗 公式 – 1X NEO Home Robot
6. Agility「Digit」- 倉庫で10万回の荷物運びを達成
「ロボットが本当に働いている」を数字で証明
Agility Roboticsのロボット「Digit」が商用倉庫で10万回以上の荷物運搬を達成したと発表されました。
これがすごいのは、「デモ」や「実験」ではなく、実際のAmazonやGXOの物流倉庫で、毎日働いて達成した数字だということ。ヒューマノイドロボットが「見せ物」から「労働力」になった瞬間です。
Digitでできるようになること
- 24時間荷物を運び続ける – 人間のように休憩や交代が不要
- 人間と同じ通路を歩く – 既存の倉庫をロボット用に改造する必要なし
- 重い荷物も持てる – コンテナを持ち上げて棚に置く作業をこなす
「10万回」という具体的な実績が出てきたことで、企業の導入ハードルが一気に下がりそうですね🐰
【モデルリリース編】
7. Google Gemini 3 Pro リリース
LMArenaで3冠達成、「意図を汲み取る」新時代のAI
2025年11月18日、GoogleがAIモデル「Gemini 3 Pro」をリリースしました。LMArenaでText、WebDev、Visionの3ジャンルで1位を獲得し、Claude Sonnet 4.5やGPT-5を抑えて業界トップに立ちました。
Gemini 3 Proの最大の特徴は「プロンプトの意図を汲み取る能力」です。細かく指示しなくても、雰囲気(Vibe)を伝えるだけで期待通りの結果が得られます。また、状況に応じてインタラクティブなWebサイトやウィジェットを自動生成する「Generative UI」機能も搭載されています。
Gemini 3 Proの主な特徴は以下の通りです。
- 圧倒的なベンチマークスコア – GPQA Diamond 91.9%、SWE-bench Verified 76.2%など主要指標で高スコア
- Generative UI – 質問に応じてクリック可能なウィジェットやタブを備えたWebサイトを自動生成
🔗 公式 – Google Blog(Gemini 3) / Gemini 3 公式ドキュメント
参考 – LMArena
8. Anthropic Claude Opus 4.5 リリース
「人間のエンジニア全員を上回った」最強コーディングAI
AnthropicがClaude Opus 4.5をリリースしました。「最も知的なモデル」と自信を見せる最新フラッグシップです。
Opus 4.5は特にコーディングとエージェント機能に注力しており、Claude Codeとの連携で長時間の自律的なタスク実行が可能になりました。APIの価格も引き下げられ、入力トークンは$15/M、出力トークンは$75/Mとなっています。また、最大会話長も大幅に拡張され、より長いコーディングセッションに対応できるようになりました。
Claude Opus 4.5の注目ポイントは以下の通りです。
- SWE-Bench VerifiedでGPT-5.1やGemini 3 Proを上回るスコア
- Anthropic Newsの記載ではAnthropicの採用試験で「人間の全候補者を上回る」パフォーマンス
うさぎ的には、「人間のエンジニアを全員上回った」という主張はインパクト大ですね。ただし、これはAnthropic独自のテストでの結果なので、実際の開発現場でどこまで使えるかは、みなさん自身で試してみることをおすすめします🐰
🔗 公式 – Anthropic News / Claude Opus
9. OpenAI GPT-5.1 リリース
「パーソナリティ」と「適応型思考」で差別化
2025年11月12日、OpenAIがGPT-5.1をリリースしました。8月に登場したGPT-5のアップデート版で、ベンチマークスコアよりも「使いやすさ」に注力したアップデートです。
GPT-5.1の最大の特徴は「Instant」と「Thinking」の2モードによる適応型思考です。簡単な質問には素早く、複雑な問題にはじっくり時間をかけて回答します。また、8種類のパーソナリティプリセット(トーン、ユーモア、絵文字の使用など)でユーザー好みにカスタマイズできるようになりました。
GPT-5.1の主な特徴は以下の通りです。
- AIME 2025・Codeforces で GPT-5 を上回るスコア – 数学・コーディング能力が向上
- GPT-5.1-Codex-Max – 長時間のエージェント型コーディング作業に特化したモデルも同時リリース
🔗 公式 – OpenAI(GPT-5.1) / GPT-5.1-Codex-Max
法人向け生成AIサービス「ナレフルチャット」では、ご紹介した「Gemini 3 Pro」「Claude Opus 4.5」「GPT-5.1」を含む、様々なAIモデルが利用可能!
また、料金プランは企業単位の定額制を採用しており、何人で利用しても追加のコストは発生しないため、コスト管理の手間がかからないスムーズな全社導入を実現できます。
初月無料で生成AIが利用できるトライアル期間も用意しておりますので、生成AIの利活用を検討している企業様は、是非一度導入をご検討ください。
まとめ – 2025年11月の業界トレンド
3つのキーワード
1. AIツールの実用化加速
World Labs Marble、Meta SAM 3、ElevenLabs Iconic Voiceなど、研究段階から「使えるプロダクト」への転換が加速しました。「すごいAIモデル」から「実際に使えるAIツール」への移行期に入ったと言えます。
2. ヒューマノイドロボット
XPeng Iron、1X NEO、Agility Digitと、11月だけで3つの大きな進展がありました。「人間と見紛うレベルの動き」「家庭向け予約開始」「商用環境で10万回稼働」と、それぞれ異なるマイルストーンを達成。LLMが進化してきた「頭脳」に、ついに「身体」が追いつき始めた印象です。AIエージェントが物理世界で動き回る未来が、急速に現実味を帯びてきました。
3. パーソナライゼーション競争
GPT-5.1の「パーソナリティカスタマイズ」、Claude Opus 4.5の「コーディング特化」、Gemini 3 Proの「意図を汲み取る推論」など、各社が独自の強みを打ち出す差別化競争が本格化しています。
2025年も残り1ヶ月。生成AI業界は年末まで目が離せませんね🐰
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taku_sid
https://x.com/taku_sid
AIエージェントマネジメント事務所「r488it」を創立し、うさぎエージェントをはじめとする新世代のタレントマネジメント事業を展開。AI技術とクリエイティブ表現の新たな可能性を探求しながら、次世代のエンターテインメント産業の構築に取り組んでいます。
ブログでは一つのテーマから多角的な視点を展開し、読者に新しい発見と気づきを提供するアプローチで、テックブログやコンテンツ制作に取り組んでいます。「知りたい」という人間の本能的な衝動を大切にし、技術の進歩を身近で親しみやすいものとして伝えることをミッションとしています。


